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インタビュー◎どうなる?これからの看護界
「特定行為の研修、早ければ15年度にもスタートへ」
岩澤和子氏(厚生労働省医政局看護課長)に聞く

2013/12/20
聞き手:久保田文=日経メディカル

いわさわ・かずこ氏●大阪大医療技術短大卒、聖路加看護大卒。同大大学院修了。三井記念病院、聖路加看護大などを経て、1990年に厚生省入省。保険局医療課、福岡県久留米市勤務、医政局看護課看護研修研究センターなどを経て、2011年より現職。

――来年の通常国会において医療法等の改正案が通れば、特定行為に係る看護師の研修制度が創設される見通しです。制度創設の意義についてどう考えますか。

岩澤 特定行為の研修制度は、チーム医療を推進する流れから検討が始まりました。限られた職種や人数で、良質で適切な医療を安全かつ効率的に提供することが狙いです。2010年3月にはチーム医療の推進に関する検討会報告書「チーム医療の推進について」 がまとめられ、その中で看護師については、「自律的に判断できる機会を拡大するとともに、看護師が実施し得る行為の範囲を拡大する」ことが提言されました。その後、この提言の具体的方策についてチーム医療推進会議と、その下に設けられたチーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ(以下、WG)において長期間の議論が重ねられ、特定行為に係る看護師の研修制度(案)がまとめられました。

 制度創設の意義の一つは、医行為に関する“グレーゾーン”の解消です。看護師の業務範囲は、保健師助産師看護師法(以下、保助看法)で「療養上の世話」と「診療の補助」と定められています。ただ、看護師が実施している行為のうち、診療の補助の範囲に含まれると明確化されているものは多くありません。それは、行為の難易度、看護教育の程度、医療用器材の開発の程度などを総合的に勘案して、社会通念に照らして判断されるものだからです。グレーゾーンの行為については、「医師が指示をすれば何でもできる」という解釈と、「明確でないのでさせられない、明確でないのでできない」という解釈があり、こうした不明確さが、医療現場に混乱を招いているという指摘がありました。特定行為を定めるということは、グレーゾーンと言われていた医行為を診療の補助の範囲であると明確化することです。

 二つ目の意義は、より適切なタイミングでの診療の補助が可能になることです。交代制ではありますが、看護師は24時間患者の変化を捉えています。ただ、患者の病態が変化しても、その都度医師の指示の確認が必要で、看護師の判断で臨機応変に処置などを行えるわけではありません。しかし、今度定められる特定行為は、「看護師が患者の病態の確認を行った上で、実施することがある行為」とされています。国が定める指定研修を受けた看護師であれば、医師の包括的な指示の下、看護師が患者の病態の変化を判断し、より適切なタイミングで患者に必要な医行為を実施することができるようになるでしょう。

――法改正するかどうかにかわらず、今回明確化される特定行為は、医師の具体的指示があれば看護師が実施できます。

岩澤 具体的指示があれば、確かに実施できます。ただ、今回明確化される特定行為はいずれも「技術的な難易度または判断の難易度がある」と認められたもので、卒前教育で実施を前提に教えられているものではありません。ですので、医師の指示の下、プロトコールに基づいて特定行為を行う場合に、指定研修の受講を義務付けているだけでなく、具体的指示に基づいて行う場合でも、努力義務の研修を受けることとしています。

――制度創設に当たって、看護現場には期待と不安のどちらが大きいのでしょうか。

岩澤 すべての看護師の声を聞いているわけではありませんが、日本看護協会が制度の早期法制化を要望されていることからも、期待が大きいと考えています。

 ただ、「診療の補助」に含まれる医行為が明確化されることで、それらの行為をやらされるようになのではないかという懸念の声も、少なからず現場からは聞かれます。ですが、特定行為を明確化するものの、その行為を医療機関で実施するかどうかは各医療機関で判断いただくことと考えています。当然、実施に際しては、研修も必要であり、一律にやる必要があるとか、強制するとかいう話ではありません。

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