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インタビュー◎どうなる?これからの看護界
「看護現場にはもっと達成感が必要だ」
石田昌宏氏(参議院議員・看護師)に聞く

「労働環境の改善や責任や能力に見合う給与体系の構築推進などで、看護師の離職防止などに取り組みたい」と話す参議院の石田昌宏氏。写真:秋元忍

――2013年7月の参議院議員選挙に自民党から出馬し、初当選しました。看護師の1人として、現在の看護の現場で最も課題だと思っていることは何でしょうか。

石田氏 現場の疲弊感を解消する方策が必要です。選挙前の1年半、全国約2000カ所の医療機関や施設を回り、「看護師が元気でない」ことを再認識しました。働いている現場に笑顔がないのです。特に都会の病院や大病院にその傾向が強く、急性期病院の大部分で看護師たちの表情が固かった。

 逆に、「ああ、いいなあ」と感じた病院はどこも地方の小さな病院でした。今の看護界の“常識”からすると、「古くて遅れた」印象の病院なのかもしれません。看護師は慢性的に不足しており、決して仕事は楽ではないにもかかわらず、なぜ職員がイキイキしているのか。答えは現場の「看護をしている実感」にあると感じました。

 そのような病院では看護師一人ひとりが、自分たちが地域に不可欠な存在であることを自覚していて、住民もその必要性を理解しており、職員との信頼関係が成り立っていました。また、もともとその地域で育った人が看護師をしているなど、職員と患者とが地域的な人間関係で結ばれており、それに基づいて看護が行われていました。

――特に急性期病院の看護師は、やりがいよりも目先の業務に追い立てられている印象です。

石田氏 近年、事故対策のための記録が増えるなど、ベッドサイドに行かない作業が増えています。医療安全という視点では正しいのですが、患者に喜ばれ、ひいてはそれが看護師の達成感につながるような看護をもっと行うべきです。

 急性期病院の中でも、各看護師に1日1時間、ベッドサイドにいなければいけない時間を強制的に作っているところがありました。その間の仕事は他の看護師が引き受けるのでその分大変ですが、長時間患者と接することで看護師のモチベーションは高まります。

 また、退院患者向けに、「誰の看護が一番良かったか」「この病院を紹介するならどのように紹介するか」という項目だけを尋ねるアンケートを行っている病院もありました。患者のポジティブな感想を聞き、看護師にプラスのフィードバックをするのが狙いです。仕事終わりのミーティングで、お互いによかったことを言い合う病院もあります。そうした病院は、どこも雰囲気がよかった。

 看護師数の確保という課題は解決しなければなりません。私もワークライフバランスを改善して労働環境を良くしたり、責任や能力に見合う給与体系の構築を推進するなどして、看護師の離職防止などに取り組んでいきます。しかし一方で、現場レベルで工夫できることが、まだまだあります。今後一層、看護管理者の力量が問われていくことになるでしょう。

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