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異動もなければ昇格もない英国NHSの人事制度

2021/04/23
ピネガー由紀

 この時期、人事異動で不安やストレスを感じる人は少なくないだろう。特に看護師の場合は、希望が通らずにこれまでとは全く違う部署や知識の浅い部署に異動(配置転換)させられた場合、また一から勉強のし直しになる。

 日本では、複数の診療科がある病院の場合、看護師は数年ごとに異動することが多いと聞く。一方、英国のNHS(National Health Service;国民保健サービス)が運営する公営病院には、人事異動のシステムは存在しない。病棟や診療科の再編成のため一時的に仮異動することはあるが、それ以外では自分の意思で退職するか解雇をされない限り、ずっと配属された病棟にいる。つまり、異動は100%本人の希望による。

 不本意な異動を命じられた人にはうらやましいシステムに聞こえるかもしれない。確かに本人の希望がそのまま通ることは素晴らしいだろう。しかし、このシステムにもマイナス面がある。自分で理想のキャリアプランを描いていても、ずるずると同じ部署に居続けてしまい、気が付いたら定年退職の年齢になっていた、ということだってある。

 今回は、そんな英国NHSにおける看護師の採用や転職、キャリアアップについて書いてみる。

著者プロフィール

ピネガー由紀(英国正看護師、フリーランス医療通訳)●ぴねがー ゆき氏。2013年、英国マンチェスター大学看護学部卒。公営の急性期病院(NHS病院)の正看護師として、主に外科部門で病棟、手術前アセスメント、入院管理、学生指導などを担当。2015年よりフリーランス医療通訳としても活動を開始。2020年4月より新型コロナウイルス感染病棟に勤務。ツイッターで情報発信中。YouTubeでも医療英語やイギリスの看護師、連載中に出てくる英文を紹介します。

連載の紹介

ピネガー由紀の「英国NHS看護師の現場ルポ」
母国語同士でも要注意!「病院の言葉」の分かりにくさは、洋の東西を問わない──。英国の公的病院(NHS病院)で看護師として働く傍ら、医療通訳としても活躍している著者が、医療現場でよく使われる英語のフレーズを切り口に英国医療の今を伝えます。

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