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「英語は世界共通語」の勘違い

2020/12/11
ピネガー由紀

「相手の言葉が分からない。どうしよう!」

 海外に行ったことがあれば、一度は経験する事態だろう。旅行中ならば「苦笑いできる旅の思い出」で済むかもしれない。しかしこれが仕事中であったら? ミスの許されない医療の世界だったら? そう考えて国外で働くことが怖い、と思い込んでしまう人もいるだろう。

 私が卒業した2013年当時、英国の大学看護学部は海外からの留学生は受け入れておらず、学生のほとんどは英語を母語とするネーティブの英国人だった。成人してから渡英し、英国で義務教育から学び直したとはいえ、ほぼ唯一の外国人であった私は、いつもネーティブの学生とコミュニケーション力を比較され、時には評価でもマイナスをつけられた。特に看護実習では苦い思い出が幾つもある。

 同じ場で同じ内容を聞き間違えても、英国人学生の場合は「コミュニケーションミス」、私の場合は「英語力に問題」とされ、理不尽さを感じることも何度かあった。そのために実習中の会話には常におびえ、神経をすり減らしていた。

著者プロフィール

ピネガー由紀(英国正看護師、フリーランス医療通訳)●ぴねがー ゆき氏。2013年、英国マンチェスター大学看護学部卒。公営の急性期病院(NHS病院)の正看護師として、主に外科部門で病棟、手術前アセスメント、入院管理、学生指導などを担当。2015年よりフリーランス医療通訳としても活動を開始。2020年4月より新型コロナウイルス感染病棟に勤務。ツイッターで情報発信中。YouTubeでも医療英語やイギリスの看護師、連載中に出てくる英文を紹介します。

連載の紹介

ピネガー由紀の「英国NHS看護師の現場ルポ」
母国語同士でも要注意!「病院の言葉」の分かりにくさは、洋の東西を問わない──。英国の公的病院(NHS病院)で看護師として働く傍ら、医療通訳としても活躍している著者が、医療現場でよく使われる英語のフレーズを切り口に英国医療の今を伝えます。

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