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コロナ病棟が自分の職場になった日

2020/11/04
ピネガー由紀

 2020年4月上旬のある日、勤務先の大学病院の階段を上りながら、私は震え上がる体と心を必死に抑えていた。階段の先にあるのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者を受け入れる専門病棟(以下、コロナ病棟)。外科部門で順調にキャリアを重ねてきた私の「新しい職場」となる場所だ。階段を一歩上がるたびに家族の顔が浮かぶ。

 厳重に管理されたコロナ病棟のドアを初めて開けたあの日から、ちょうど半年が過ぎた今、英国では新型コロナの感染第2波が始まっている。心身ともにキツい医療現場だが、医療の原点とやりがいを思い出させてくれたのは、皮肉にも第1波の期間にコロナ病棟へ配置され、様々な人と「あの苦難」を乗り切ったことだ。そこで今回は、私が経験した英国のコロナ病棟での医療を振り返ってみる。

著者プロフィール

ピネガー由紀(英国正看護師、フリーランス医療通訳)●ぴねがー ゆき氏。2013年、英国マンチェスター大学看護学部卒。公営の急性期病院(NHS病院)の正看護師として、主に外科部門で病棟、手術前アセスメント、入院管理、学生指導などを担当。2015年よりフリーランス医療通訳としても活動を開始。2020年4月より新型コロナウイルス感染病棟に勤務。ツイッターで情報発信中。YouTubeでも医療英語やイギリスの看護師、連載中に出てくる英文を紹介します。

連載の紹介

ピネガー由紀の「英国NHS看護師の現場ルポ」
母国語同士でも要注意!「病院の言葉」の分かりにくさは、洋の東西を問わない──。英国の公的病院(NHS病院)で看護師として働く傍ら、医療通訳としても活躍している著者が、医療現場でよく使われる英語のフレーズを切り口に英国医療の今を伝えます。

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