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「誰でも知っている言葉」という落とし穴

2020/10/09
ピネガー由紀

 2013年に英国で看護師免許を取得し、公的な医療制度であるNHS(National Health Service;国民保健サービス)の病院で働き始めてから7年が過ぎた。私は日本の看護師免許は持っていない。成人してから渡英し、義務教育からスタートして英国の看護学校を卒業した。耳鼻咽喉・頭頸部外科、救急外傷外科の病棟経験に加え、3年間の非常勤勤務で多くの急性期外科を回ってきた。2020年4月に新型コロナ感染病棟に招集をされて以来、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療にも関わっている。フリーランスの医療通訳としても活動中である。

 皆さんは、NHSがどのようなものかご存じだろうか。「国営医療」「無料医療」などと訳されることが多いように思うが、どちらも100点満点の答えではない。病院が患者さんを診察したら診療報酬を請求するが、その負担割合は国が10割、患者が0割。無料医療と言われるゆえんだが、財源は「National Insurance」という名目で国民が税金として納めている。私の給料明細からもガッツリNational Insurance分が引かれている! NHSの医療サービスを受けるためには、納税が義務となっているわけだ。

 本コラムでは、こんな英国NHSの医療を、看護師として働く私が現場から紹介していこうと思う。第1回である今回は、看護学生時代の苦い思い出から──。

著者プロフィール

ピネガー由紀(英国正看護師、フリーランス医療通訳)●ぴねがー ゆき氏。2013年、英国マンチェスター大学看護学部卒。公営の急性期病院(NHS病院)の正看護師として、主に外科部門で病棟、手術前アセスメント、入院管理、学生指導などを担当。2015年よりフリーランス医療通訳としても活動を開始。2020年4月より新型コロナウイルス感染病棟に勤務。ツイッターで情報発信中。YouTubeでも医療英語やイギリスの看護師、連載中に出てくる英文を紹介します。

連載の紹介

ピネガー由紀の「英国NHS看護師の現場ルポ」
母国語同士でも要注意!「病院の言葉」の分かりにくさは、洋の東西を問わない──。英国の公的病院(NHS病院)で看護師として働く傍ら、医療通訳としても活躍している著者が、医療現場でよく使われる英語のフレーズを切り口に英国医療の今を伝えます。

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