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院内で急変発生!その時NPは――

2015/06/01
村上友悟(刈谷豊田総合病院看護部 診療看護師)

 循環器内科を研修中のある日、私は指導医と共にエコーを運びながら血液透析センターに向かっていました。「救急外来を受診した維持透析患者さんが血圧低下を来したらしい」という情報を基に――。

 透析センターに到着すると、ショック体位になっている患者さんの周りには院内救急チーム(Medical Emergency Team;MET)の麻酔科医や外来で診察した内科医、心臓血管外科医など様々なスタッフが取り囲んでいました。そんな中、循環器内科医である指導医が心エコーをすると、心臓周囲にecho-free space。「心タンポナーデ?」と思った瞬間、患者さんのモニターがけたたましいアラーム音と赤色の点滅を繰り返し、心肺蘇生スタートの合図を鳴り響かせました。

 心肺蘇生が開始された数分後、胸骨圧迫のかけ声や物品の準備で現場が騒然とする中、患者さんの直近では、指導医が心嚢穿刺を断念し、心臓血管外科医が小開胸をしているところで、頭側では麻酔科医が挿管をしていました。

 腎臓内科医や内科医、透析センターの看護師、臨床工学技士、隣にある腎臓内科の病棟看護師など急変に駆け付けたたくさんのスタッフが心配そうに様子を伺う中、心臓血管外科医や麻酔科医らと共にテキパキと動く3人のNPの姿がありました。開胸の機械出しをしている伏見さん(伏見直記)、外回りで物品をそろえようと指示を出し、かつ点滴ルートの確保や心臓マッサージに交代で入る谷ちゃん(谷田真一)と愛ちゃん(下村愛)です。私はといえば、彼らの姿をどこか冷静に見ながら緊急カートの横で時間を記録しながらアドレナリンを投与していました。

心肺停止の原因は?臨床推論に四苦八苦
 現在、救急の教育プログラムとしてBLS(Basic Life Support)、ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)、ICLS(Immediate Cardiac Life Support)、JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)などさまざまなトレーニングがOff-the-Job trainingとして全国各地で行われています。藤田保健衛生大学大学院NPコースに入学した私たちは、急性期で臨床を積んできた者ばかりであり、これらのコースを当然のように受講していたり、人によってはインストラクターの資格を持っていたりします。

 NPコースでも、急変時の対応として1年目の演習で救急蘇生について学びます。当大学にはシミュレーションセンターがあり、学びたい症例に合わせて脈拍や血圧などをコンピュータープログラムできるシミュレーターや、それを管理するスキルスラボなる施設が充実しています。演習では、救急医からBLSやACLSと同様に教育を受けられます。ただ異なるのは、看護師の時には考え慣れていない薬剤投与や臨床推論に関する知識を身に付けるための講義が同時に組み込まれているという点です。

 「ROSC(自己心拍再開)の場合、ドパミンは何γから使うんだっけ?」「AV(房室)ブロックの波形があるってことは……」「心肺停止の原因は?」など、心肺蘇生と並行して薬剤投与や臨床推論の知識を踏まえてシミュレーターに実施しなければなりません。

著者プロフィール

2014年3月、藤田保健衛生大学大学院保健学研究科看護学領域急性期・周術期分野を1期生として修了し、「診療看護師」として勤務する8人が執筆を担当します。

連載の紹介

NP養成の舞台裏@藤田保健衛生大学
各地の看護系大学院で養成が進む診療看護師(Nurse Practitioner;NP)。その一つ、藤田保健衛生大学大学院の修了生が、大学院での学びや現場での実習の様子など、NP養成の“舞台裏”を紹介。看護師が治療の視点を持つ意義について考えます。

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