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臨床5年目に直面した「越えられない壁」

2015/01/30
下村 愛(藤田保健衛生大学病院中央診療部 診療看護師)

 私は2005年に地元の大学の看護学科を卒業後、大阪市内の大学病院に就職しました。配属されたのは救急病棟でした。同病棟では、CPAOA(cardiopulmonary arrest on arrival;来院時心肺機能停止)や外傷、薬物中毒で救急搬送された入院患者のほか、周辺病院から重症化した敗血症、重症急性膵炎など全身管理が必要な患者の転院を受け入れていました。35人ほどの看護師が初療対応、救急病棟での患者の受け持ち、さらに当時は血管造影室の検査介助も交代で行っていました。

 新人看護師は1年間、救急病棟で受け持ち患者の看護を通して必要な技術、知識を身に付けるように教育プログラムが組まれていました。人工呼吸器、多数のモニター類、何一つ分からない新人にとっては、一人の患者を受け持ちアセスメントするだけでも精一杯。夜勤の休憩時間には、分からないことを必死に調べ、翌朝の申し送りの内容を時間一杯考えていました。何度も自分にはできないと落ち込むことがありましたが、それでも頑張れたのは、同じように悩みながらも一緒に頑張った同期の存在と、2年目、3年目の先輩が機敏に働いている姿を間近で見て、ここでくじけずに働けば成長できるはずと目標を見付けられたからだと思います。

 2年目以降は、初療室での患者の受け入れや血管造影室での検査介助を、先輩看護師と行うようになりました。病棟業務だけでなく、新しく覚えることが増えたため大変でした。しかし、例えば心室細動などの致死的不整脈によるCPAの患者が搬送されて来た時には、初療室で初期治療の対応を行い、血管造影室でCAG(冠動脈造影)・PCI(経皮的冠動脈インターベンション)の介助、そして一命を取り留めた患者の集中治療における看護を一つの部署の看護師が連携して行えることに、やりがいを感じるようになりました。4年目が終わる頃には、どの担当となっても自分で考えて動けるようになってきたと実感でき、本当に仕事が楽しかったのを覚えています。

 ところが、5年目になり、私は大きな壁に直面しました。後輩や、院内の異動で新たに配属された職員に指導する機会が多くなったものの、新人の頃から毎日のように行ってきたことですら、「なぜそう判断するのか?」「なぜその手順で行うのか?」を指導する相手に伝える時、あまりに曖昧な説明しかできなかったのです。

著者プロフィール

2014年3月、藤田保健衛生大学大学院保健学研究科看護学領域急性期・周術期分野を1期生として修了し、「診療看護師」として勤務する8人が執筆を担当します。

連載の紹介

NP養成の舞台裏@藤田保健衛生大学
各地の看護系大学院で養成が進む診療看護師(Nurse Practitioner;NP)。その一つ、藤田保健衛生大学大学院の修了生が、大学院での学びや現場での実習の様子など、NP養成の“舞台裏”を紹介。看護師が治療の視点を持つ意義について考えます。

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