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なぜ、われわれは手洗いをしないのか?(その2)

2017/03/28
忽那賢志(国立国際医療研究センター国際感染症センター)

 国立国際医療研究センター国際感染症センターの忽那(くつな)です。この連載は複雑に入り組んだ感染症診療に鋭いメスを入れ、様々な謎や疑問を徹底的に究明するものです。

 忽那は現在、イギリスに出張中でして、コレラのアウトブレイクが井戸水によって起こっていることを初めて突き止めたジョン・スノウ医師ゆかりのパブでビールをかっくらい、上機嫌になっている状態ですので、今回はジョン・スノウにちなんで下痢系の話をしたいと思います。

トイレの後、手洗いしてる?
 ちょっと前に世間を騒がせた感染症のニュースを覚えていますでしょうか。そう、ノリを食べた人たちに起こったノロウイルスのアウトブレイクです。どうやら、あのノリを加工していた業者の方がノロウイルスに罹患していて、汚染された手で作業したことが原因ではないかと考えられています。吐物によって汚染されていたのか、便によって汚染されていたのか分かりませんが、いずれにせよ手洗いの不徹底が原因であったのでしょう。

 ニュースの論調としては「ノロウイルスに罹った人が手洗いをしないのはけしからん!」という感じですが、手洗いしてないことを責める以前に、そもそも嘔吐・下痢があって体調不良のときは仕事を休みましょうという前回の話につながるわけであります。本人だけの問題ではなく、体調不良であっても休みにくい職場環境があったのかもしれません。

 ちゅーか「手洗いをしなさい」って言いますけど、あーたたちだってそんなに手洗いしてないでしょうがよ。いやいや、私は手洗いをしているとおっしゃるあなた。こっちは証拠を握ってるんだよッ!!1年半前くらいに手洗いの話をして警鐘を鳴らしまくったのですが、1年半を経過しても世の中の手洗い事情は一向に改善される気配がないようなのです。

著者プロフィール

くつな さとし氏●2004年山口大学医学部医学科卒。関門医療センター、市立奈良病院などを経て、2012年から国立国際医療研究センター国際感染症センターに勤務。趣味はお寺巡りとダニ収集。

連載の紹介

忽那賢志の「感染症相談室」
感染症にまつわる臨床現場でのさまざまな謎や疑問を徹底的に究明。複雑に入り組んだ感染症診療に鋭いメスを入れていきます。

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