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「だいたいウンコになる」抗菌薬にご用心!

2015/12/14
忽那 賢志(国立国際医療研究センター国際感染症センター)

図1 抗菌薬適正使用啓発週間のポスター(忽那作)
この手は私の姪っ子です。

 国立国際医療研究センター国際感染症センターの忽那(くつな)です。この連載は複雑に入り組んだ感染症診療に鋭いメスを入れ、様々な謎や疑問を徹底的に究明するものです。

 前回のいわゆる「忽那さん激オコ」の回は「忽那もついにぶっ壊れたか」と私周囲のごく一部で波紋を呼びましたが、安心してください、忽那は元気にやっております。田舎の母ちゃん、オレ、都会で頑張ってるよ…。

 ちゅーかですね、実は前回の原稿って、いつものように締め切りを過ぎてもネタが思いつかなかった私が、担当者Fさんに「そろそろ、いいかげん原稿をお願いします」と言われてやべーと焦り、ちょうどインフルエンザワクチンのニュースをテレビでやってたから、ビールを飲みながら15分くらいで適当に怒りに任せて書いたんです。で、「すみません、こんなひどい原稿しか書けてません。でも、こんな内容は載せられないですよねえ、へっへっへ。じゃあ、すみませんが、もう少し待ってもらえますか~?」なんて言いつつ苦し紛れに送ったら、Fさんが「神原稿っす!パネェっす!」とか言い出す始末。この人ぶっ飛んでるなあと思いつつも、でもさすがにAナーシングの上の方が止めるだろうと思ったら「なかなかいいんでないかい」という、大丈夫かこの会社っていう判断をされた結果、掲載されてしまったというのが事の顛末なのであります。個人的にはアレで原稿料がもらえて得したなあと思っております。

看護師さんも抗菌薬の適正使用に関心を!
 さて、今回は「医師の抗菌薬処方を観察してみよう」というお話です。11月16日から22日は抗菌薬適正使用啓発週間です(図1)。抗菌薬の不適切な処方を見直す週間なのです。しかし、まあ、この原稿が掲載される頃には啓発週間はとっくに終わっていることでしょう。なぜなら、例のごとく私の原稿を書くスピードが遅いからですッ!

 しかし、この「抗菌薬を注意深く使おう」というキャンペーン、1週間が過ぎたからといってサクッとやめるものではありませんッ!これをずっと続けることが大事なのです!現在は医師や薬剤師が中心になって行っているキャンペーンですが、やはり医療従事者の多くを占める看護師さんにも加わってもらわないと本当のキャンペーンとは言えません!そこで、看護師の皆さんにも抗菌薬の適正使用に向けた取り組みに参加していただきたいと思います!

 皆さんは医師の抗菌薬処方について観察したことがあるでしょうか?自分の所属する外来や病棟で働く医師が、どんな抗菌薬を処方しているのか気になりませんか?つーか、ぜひ気になってください!看護師さんが「うわー、うちの先生ってば、かぜに抗菌薬処方しちゃってるわ」とか「この場合、オラ○ネムは必要ないのでは…?」とかいう批判的吟味ができるようになれば、医師は緊張して「不必要な抗菌薬」は処方せずに済むかもしれません。

 抗菌薬を使い続けていれば、必ずその抗菌薬が効かない耐性菌が出てきます。そう、抗菌薬は言わば「限りある資源」なのです。抗菌薬が使えなくなれば、感染症の治療はもちろんのこと、手術も分娩も化学療法も安全にできなくなってしまいます。未来に抗菌薬を残しておくためには、無駄な抗菌薬処方は可能な限り減らさなければなりません。

経口第3世代セフェムが「だいたいうんこになる」わけ
 「無駄な抗菌薬を処方してはダメ」というのは分かっても、それが無駄かどうかは初めのうちはなかなか判断が難しいでしょう。しかし、手始めに医師の抗菌薬処方を観察するのに手っ取り早い方法があります。それは「経口第3世代セフェムを処方していないか」を見ることです。

 経口第3世代セフェムというのは「セフゾン」「フロモックス」「メイアクト」「バナン」「トミロン」(いずれも商品名)といった名前の経口抗菌薬です。非常によく聞く抗菌薬だと思いますが、実はこれらの経口第3世代セフェムを処方している場合、その処方はほぼ100%不適切と言っても過言ではないのですッ!しかし、世の中で安易に処方される経口第3世代セフェムのなんと多いことかッ!!

著者プロフィール

くつな さとし氏●2004年山口大学医学部医学科卒。関門医療センター、市立奈良病院などを経て、2012年から国立国際医療研究センター国際感染症センターに勤務。趣味はお寺巡りとダニ収集。

連載の紹介

忽那賢志の「感染症相談室」
感染症にまつわる臨床現場でのさまざまな謎や疑問を徹底的に究明。複雑に入り組んだ感染症診療に鋭いメスを入れていきます。

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