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インフルエンザワクチンの値上げに忽那さん激オコ

2015/11/10
忽那 賢志(国立国際医療研究センター国際感染症センター)

 いきなりだけど、今日はオレ、怒ってっから。もう、普段は温厚な忽那さんも、今日は丁寧語すら使えないほどにまで煮え立ってる状態なわけ。「国立国際医療研究センター国際感染症センターの忽那です。この連載は複雑に入り組んだ感染症診療に鋭いメスを入れ、様々な謎や疑問を徹底的に究明するものです」っていうお決まりのオープニングのセリフも書けないほど憤ってるわけ。もう、今、怒りを噛み締めすぎて歯茎から出血しながらこの原稿書いてるから。出血しすぎてB型の赤血球10単位を緊急輸血中よ。アレルギーが起こらないか慎重に経過観察中よ。

トキソプラズマ治療薬の値段、爆上げ
 何でそんなに怒ってるかっちゅーと、まずはアレよ、薬の値段の話ね。トキソプラズマの治療薬の値段、爆上がりの件ね。ニュースとかでも話題になったから知ってる人もいると思うけど。もともと、このピリメタミンってすっごい安い薬剤だったのに、アメリカの製薬会社が権利を買って値段をめっちゃ高く設定しちゃったわけ。

 この薬剤はほぼ独占状態だから、世界中のトキソプラズマ感染症の患者が困っちゃうわけよ。日本でも例外じゃなく、先天性トキソプラズマ症やトキソプラズマ脳症の患者はいらっしゃるわけで、日本ではエイズ治療薬研究班とか熱帯病治療薬研究班とかが保管してて、必要時にオーファンドラッグとして使用されていたわけだけども、今後は入荷に影響が出るんじゃないかって言われてるわけ。どうしてくれんのよって話よ。

 しかも、やむなく値上げって話なら仕方ないけども、この買収した会社は一儲けしてやろうと思ってこういうことをやってるわけですよ。マネーゲームですわ。もう、忽那さん激怒りよ。赤血球10単位を緊急で追加オーダーよ。医療の世界にそんな金儲けの原理を持ち込むんじゃねえっつって。これでトキソプラズマ感染症の患者に薬が届かなくなったらどうすんだっつって。お前らはゲームで遊んでるつもりなんだろうけど、こっちは命かかってるんだぞっつって。

インフルワクチン、3価から4価になって値段が1.5倍?
 もう一つはアレね、インフルエンザワクチン。去年までの3価(A型インフルエンザが2つ、B型インフルエンザが1つ)だったのが、今年から海外と同じく4価(A型インフルエンザが2つ、B型インフルエンザが2つ)になったって話は皆さんもご存知でしょうよ。それ自体はいいことなんだけど、値上げがすごいって話よ。なんと卸価格が去年の1.5倍っていう。エースコックのスーパーカップかっていう。3価から4価にして、どんなことしたら1.5倍になるんだっていう。そんなだったら23価も入った肺炎球菌ワクチンのニューモバックス(商品名)の値段はいくらになるんだって話よ(※単純に比較できません)。

 しかもですよ。インフルエンザワクチンを製造してるのは1社だけじゃないんだけど、なぜかどの会社も「偶然の一致」で今年の卸価格を去年の1.5倍に設定してるっていう。こんな偶然ありますかっていう。

 当然、ワクチンの卸価格が上がるとワクチン接種料も高くなるわけだからして、今年はどこもやむなく値上げしてるわけ。接種料が高くなると接種しない人が当然増えるわけでしょ。そうすると、今シーズンはインフルエンザが例年よりも流行っちゃう可能性があるわけ。もしかしたら、お金の問題でワクチンを接種できなかった人がインフルエンザで亡くなっちゃうっていう悲劇が生まれてしまう可能性だってあるわけ。もう、どうしてくれるんだっていう。

 忽那さんの怒りは頂点に達して、思わずAmazonで爆買いよ。インフルエンザワクチンへの当て付けでエースコックのスーパーカップ爆買いよ(図1)。オレの小遣い返せって話よ。つーか小遣いもう少し増やしてくれって誰かオレの妻に言ってくれって話よ。

著者プロフィール

くつな さとし氏●2004年山口大学医学部医学科卒。関門医療センター、市立奈良病院などを経て、2012年から国立国際医療研究センター国際感染症センターに勤務。趣味はお寺巡りとダニ収集。

連載の紹介

忽那賢志の「感染症相談室」
感染症にまつわる臨床現場でのさまざまな謎や疑問を徹底的に究明。複雑に入り組んだ感染症診療に鋭いメスを入れていきます。

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