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患者さんと一緒に「自殺報道」を見るとき

2020/11/09
小林光恵

イラスト:立花 満

 看護師の田島さん(仮名)から「自殺報道」と題したメールが届きました。現在、消化器内科病棟に勤務中の彼女とは、数年前にエンゼルケアの質問を受けて以来、時々メールのやりとりをしています。彼女から届いた今回のメールには、入院患者の権藤さん(70代前半、出版関係の仕事)とのやりとり、それに対する彼女の思いがつづられていました。それに基づいて、田島さんと権藤さんの当時のやりとりを再現してみたいと思います。

「主任さんなのに、その程度?」
 権藤さんが入院した日、夕方の検温を担当したのは田島さんでした。彼女が自己紹介を終えて検温に入ろうとしたところ、オンになっていたテレビから女性タレントの自殺を伝えるニュースが流れ始めました。その途端、権藤さんは真顔でテレビ画面にくぎ付けになり、声をかけようとする彼女を手で制しました。

 「権藤さんは、そのニュースをじっくり観たいのだろう」と考えた田島さんは、声をかけずにその場で待つことにしました。予診票から、彼が過去に自殺未遂をしたことがあるという情報を得ていたこともあります。自殺のニュースが終わると権藤さんは、田島さんの方に顔を向けて言いました。

連載の紹介

小林光恵の「ほのぼのティータイム」
人気漫画「おたんこナース」の原案者である著者が、医療・介護の現場にまつわる話題から看護師のプライベートな悩みまで、気になるテーマを取り上げます。看護師が日常の中でふと感じる疑問や悩みなどに対して、著者ならではユニークな視点から新たな提案をします。仕事で疲れてホッと一息つきたい時におススメのコラムです。

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