自己効力理論は心理学の知見であり、これを保健・医療の現場に活用する試みが少しずつ浸透している。この理論は行動変容のプロセスに自己効力という認知的変数を導入し、行動変容を合理的に説明するものである。
糖尿病患者の療養生活は、食生活に代表されるように生活習慣の変更が迫られ、知識の提供は重要ではあるが行動を変えるには十分ではない。そこに自己効力感の概念を導入することで、療養行動をとる自信をアセスメントし、動機づけを高める介入を検討することができる。
また、内外で自己効力感を測定する尺度が開発され、慢性疾患患者用や糖尿病患者用の質問紙が開発され利用されている。糖尿病患者の療養行動そのものを測定する指標ではないが、行動を媒介する概念であることを活用し、介入研究の1つの認知的な評価指標としても用いられている。
十分なエビデンスが得られているとは言えないが、個人特性や糖尿病の病状、自己管理やQOLとの関連などが検討され、教育的介入で自己効力感が有意に改善するという報告もある。
DM Ensemble ~selection~
DM Ensemble「2013 Vol.2 No.1」
糖尿病患者の自己効力感について
「連載 糖尿病診療update」より抜粋
2014/11/17
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連載の紹介
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