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第11回
復職できるでしょうか……と不安を訴える看護師

2016/02/24
武用 百子(和歌山県立医大保健看護学部精神看護学准教授、精神看護専門看護師)

 連載第2回で、看護部が取り組むメンタルヘルス支援には、1次予防から3次予防までの段階的な対策があることをお伝えしました。これまで本コラムの記載は、1次予防(メンタルヘルスの問題を未然に防ぐ)および2次予防(早期発見・早期介入)に焦点をおいてきましたが、今回と次回は3次予防、つまり再発しないための介入や復職支援について記載します。

病気休暇を取得していたスタッフが復職
 抑うつ状態で病気休暇を3カ月取得していたAさんから師長へ、「主治医に『そろそろ復職してもいいよ』と言われたので、職場に戻りたいと考えている」との電話がありました。翌日Aさんが診断書を持って訪ねてきたので、師長はAさんと現在の状況について話をしたところ、以下が語られました。

・抗うつ薬を服用中だが、日中の眠気はそれほどない
・夜勤は最低3カ月間しないように主治医から言われている
・抑うつ気分はなくなり、気分の不安定さや感情失禁もなくなった
・生活リズムは、朝7時に起きて、昼間は自宅で過ごすパターンが中心だが、半日くらいの外出(買い物など)はできている
・午睡しなくても精神状態に影響はしない
・睡眠も8時間くらい取れており、中途覚醒や早朝覚醒などは今はなくなっている
・今の気分は「3カ月も病棟を離れており、病棟に戻れるのか、仕事ができるのか不安でしかたがない」
・病棟の同期とも連絡は取っていない

主治医は「条件付きでの復職は可能」と診断
 抑うつ状態で病気休暇を取得し3カ月間の自宅療養を経て、Aさんの抑うつ気分や睡眠障害といった精神症状は改善し、生活リズムも7時に起きて半日程度の活動であればできる状態まで改善しているようです。主治医は「抗うつ薬の内服と夜勤業務はできない」という条件付きでの復職は可能であると考えているようです。

 また、Aさん自身には「病棟に戻れるのか、仕事ができるのか」と復職に伴う不安が生じています。

管理職は何をアセスメントすべきか
 3次予防とは、「メンタルヘルス上の問題で休職者が出た際の適切な支援による社会復帰と再発・再休職の予防」のことです。自宅療養中と復職後には、活動量の負荷、心理的負荷に大きな差がありますので、リハビリテーション的な援助が必要になります。復職支援は、以下の(1)~(6)のステップで行います。

(1)復職のタイミングのアセスメント
(2)精神症状や体力の改善についてのアセスメント
(3)主治医の見立て
(4)復職プログラムの作成(段階的な負荷)
(5)リハビリ勤務
(6)職場でのフォロー体制


 今回は、(1)と(2)について解説します。

 復職のタイミングは、「復職が可能」という主治医の見立てと本人が「復職したい」という意思があることです。Aさんの場合は両方が確認できますので、復職のタイミングと考えてよいでしょう。加えて、復職するための精神症状や体力がどの程度改善しているのかアセスメントします。

 具体的には以下のことなどを聴取し、総合的に判断します。

・病気休暇前の精神状態と比較してどの程度改善しているのか
・集中力や判断力はどの程度改善しているのか
・服薬の有無
・通勤を想定した時間に起床し、規則正しく食事を摂れているのか
・食欲の有無
・自宅の掃除や買い物といった活動はどれくらいの時間行えるのか
・決まった時間に就寝できているのか
・余暇活動の程度はどうか
・「復職したい」という思いに過度な焦りがないか

 この際、主治医から「復職可能」という診断が出ても、産業医や産業保健師などとも連携し病気休暇前の状態に比べてどの程度改善しているのかについて積極的に情報を共有する必要があります。復職後の勤務時間や業務内容を検討するためにも、管理職としてアセスメントしなくてはなりません。

著者プロフィール

武用百子(和歌山県立医大保健看護学部精神看護学准教授、精神看護専門看護師)●ぶよう ももこ氏。1991年北里大看護学部卒業。北里大病院、日本赤十字社和歌山医療センターを経て、2000年兵庫県立大大学院修了。和歌山県立医科大附属病院でリエゾンナースとして勤めた後、08年から和歌山県立医大保健看護学部精神看護学講師、15年から現職。

連載の紹介

看護主任・師長のための「職場のメンタルヘルス支援ガイド」
メンタルヘルスに不調を抱えたスタッフを、管理職はどう支援していけばよいのか。一人でも多くの看護師が、辞めずに元気に働き続けられることを願って、リエゾンナースがサポートに必要な知識をお届けします。

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