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第1回
管理者が対応に悩む今どきの新人看護師

2015/04/08
武用百子(和歌山県立医大保健看護学部精神看護学准教授、精神看護専門看護師)

 私はリエゾンナース(精神看護専門看護師)として14年間、ナースのメンタルヘルス支援に関わってきました。活動をスタートさせた当初、看護師から受ける相談は「先輩看護師の指導がつらい」「自分のやりたい看護ができない。こんなはずじゃなかった」といった内容でした。彼女たちは面談の場で泣いては「すっきりしました。また頑張ります」と、現場に戻っていくのが普通でした。何度か面談をすることがあっても、病欠に至るケースはまれでした。

 しかし近年、私が支援に関わる看護師の半数以上が精神科の医療を必要としています。服薬しながらの勤務や病欠・長期の病気休暇、復職支援など、病棟管理者やスタッフが対応に悩む例が増えています。こういった背景からか、数年前より「看護師のメンタルヘルス支援の実際」について講演させていただく機会が増えました。

ストレスフルな環境に置かれたナースたち
 では、医療現場で一体何が起こっているのでしょうか。

 患者さんの命は、誤った判断やシステムエラーによって容易に危険にさらされる可能性があります。それが医療現場で働く人がストレスを感じる最大の理由です。また近年、治療や技術の専門化、複雑化が進み、常に新しい知識を学ばなければ対応できなくなっています。自分の能力以上の対応を求められることもしばしばあります。患者満足度を高めるために説明責任はますます重くなり、患者さんの権利主張の声は大きくなる一方です。それらへの対応のため、看護師は非常にストレスフルな環境に置かれています。また、医療費削減のための平均在院日数の短縮化が、ストレス増大に拍車をかけています。手術件数や入退院患者数などの増加により、仕事量が増えるだけでなく質の向上も要求されるため、看護師の疲弊感はより大きくなっています。

 医療職のストレスには、感染や院内暴力など個人的なリスクを増大させる環境、仕事の量と質、そして人間関係に関するものが挙げられます。それらにうまく対処しなければ、やがて強いストレス反応を呈することになります。

“今どき”の新卒看護師のメンタリティ
 常勤看護師や新人看護師の離職率の高さを受け、厚生労働省は2010年4月、「保健師助産師看護師法および看護師などの人材確保の促進に関する法律」を一部改正し、新人看護職員研修を努力義務として位置付けました。その成果もあり、新卒看護師の離職率は微減傾向にあります。しかしながら、新卒看護師が「ストレスを受けやすい環境」に適応していくためには、研修だけではなく先輩看護師がどのように関わるかも重要です。

 今年入職する新卒看護師は1993~94年生まれ。当時はWindows3.1、PlayStation(ソニー)、セガサターン(セガ)など、現在のゲームブームの火付け役となるソフトやゲーム機器が誕生した時代です。その後、携帯電話も進化しインターネットができるスマートフォンに変わりました。キーワードを入力すればすぐに検索でき、分からないことも不特定の人への投げ掛けによって解決していく時代です。コミュニケーションは現実の人ではなくSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を中心に繰り広げられているといっても過言ではありません。さらに少子化、核家族化、遊びの変化などによりストレス耐性は育ちにくい環境にあります。そのためソーシャル・スキルも学習途上であり、ストレスフルな環境には適応にしくい状況といえます。


著者プロフィール

武用百子(和歌山県立医大保健看護学部精神看護学准教授、精神看護専門看護師)●ぶよう ももこ氏。1991年北里大看護学部卒業。北里大病院、日本赤十字社和歌山医療センターを経て、2000年兵庫県立大大学院修了。和歌山県立医科大附属病院でリエゾンナースとして勤めた後、08年から和歌山県立医大保健看護学部精神看護学講師、15年から現職。

連載の紹介

看護主任・師長のための「職場のメンタルヘルス支援ガイド」
メンタルヘルスに不調を抱えたスタッフを、管理職はどう支援していけばよいのか。一人でも多くの看護師が、辞めずに元気に働き続けられることを願って、リエゾンナースがサポートに必要な知識をお届けします。

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