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タレント女医の診療報酬不正請求に思う

2016/03/22
安部 正敏(札幌皮膚科クリニック、褥瘡・創傷治癒研究所)

 過日、タレント女医が診療報酬不正請求により逮捕された。言語道断の愚行であり、医師の社会的信用がガタ落ちである。無論、保険医はその良心に従い、不正請求など皆無に近いのであるが、テレビが大々的に保険診療の仕組みなんぞを特集したため、保険医療制度がある程度一般市民に知られるところとなった。

 それはそれでいいのであるが、世の報道番組はさまざまであり、俗に「ワイドショー」と呼ばれる部類の情報番組は医師に悪意を持つがごとき放送をする場合があり、全ての医師は容易に不正請求ができるがごとく報道されることもあった。

 コメンテーターも好き勝手なことを言い、おおよそ医療に関係ない、見るからに馬鹿丸出しのタレントが、「自分は健康であり、あまり病院にはいかぬが、医師は信用できない」などとヌカシテいたが、そもそも保険制度のコメントにはほど遠い話であり、つまるところ小麦高騰のニュースに対し、「自分はラーメンが嫌いであり、ラーメン屋に行かぬので小麦は関係ない」などといった意味不明のコメントに等しい。

 逮捕された女医はホストクラブに通い詰めていたなどと報道され、さらに暴力団との付き合いもあったようであるが、そもそも臨床や研究に没頭する医師などはホストクラブのとりこになるはずもなく、要はその女医がその程度の人間だったのであろう。

ミズイボ治療を巡る患者との応酬
 さて、不正請求は無論論外であるが、保険診療というのは結構しんどいものである。

 無論、本邦の保険制度は国民皆保険といった世界に誇る制度であり、このためにこの国の平均寿命は延びたといっても過言ではない。その保険制度を否定するつもりはさらさらないのであるが、最新の治療や希少疾患に対する治療は保険が適用できないことが多く、患者がそれらの恩恵を受けられないことも少なくない。

著者プロフィール

安部正敏(医療法人廣仁会札幌皮膚科クリニック副院長、褥瘡・創傷治癒研究所)●あべ まさとし氏。1993年群馬大学医学部卒。同大皮膚科入局。米テキサス大サウスウェスタンメディカルセンター細胞生物学部門研究員、群馬大皮膚科講師などを経て、2013年から現職。近年エッセー連載も多数。

連載の紹介

安部正敏の「肌と皮膚の隅で」
看護師が日常的に遭遇する皮膚疾患をテーマに、病態のメカニズムや治療の最新知見、スキンケアのピットフォールなどを解説するエッセー。看護師向けセミナーや書籍などで大人気の安部正敏医師が、分かりやすくレクチャーします。

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