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第84回 主訴:[眠気][めまい・ふらつき]
意識障害のため来院した著しいアシデミアを呈する68歳男性
森口修平(虎の門病院)

2014/09/05

虎の門病院 森口修平先生

【症例】68歳男性

【主訴】ふらつき、傾眠

【家族歴】父:膵性糖尿病で死亡、母:糖尿病

【生活歴】
喫煙:20本/day
飲酒:週3-4回(以前はワンカップ5本/day、断酒会以降は多くても2本/day)

【内服薬】
オルメサルタン40mg、ニフェジピン40mg、ラベプラゾール10mg、ツムラ大建中湯、消化酵素配合顆粒、オロパタジン5mg

【既往歴】
#糖尿病(43歳から経口血糖降下薬の内服開始。54歳からインスリン療法導入。)
#膀胱癌:1年前根治的膀胱全摘除・両側骨盤内リンパ節郭清・回腸導管造設術施行
#アルコール依存症、肝障害、慢性膵炎#膵石
#術後癒着性イレウス#高血圧#脳梗塞

【現病歴】
来院2週間前頃に嘔吐・下痢あり、飲酒量が増加。
来院1週間前よりふらつき、傾眠傾向となり、経口摂取不良となる。
来院3日前から随時血糖500mg/dl台が続き、インスリンを増量しても血糖に改善を認めず(夕前350mg/dl、眠前450mg/dl)軽度意識障害を認めたため、当院救急外来を受診。

【入院時身体所見】
意識状態:JCS1
血圧:130/60mmHg、脈拍80/min、呼吸数12/min、体温36.8℃、SpO2 99%(room air)
頭頸部:結膜貧血なし、黄染なし、頸部リンパ節触知せず
胸部:心音、肺音に異常なし
腹部:平坦・軟、自発痛なし、圧痛なし
四肢:下肢浮腫なし

【入院時検査所見】
<生化学>
総蛋白7.6g/dl、アルブミン3.8g/dl、CK81IU/l、AST(GOT)11IU/l、ALT(GPT)10IU/l、LD172IU/l、ALP590IU/l、γGT73IU/l、アミラーゼ58IU/l、尿素窒素67mg/dl、クレアチニン2.49mg/dl、eGFR21.3ml/分/1.73、尿酸4mg/dl、随時血糖349mg/dl、Na136mmol/l、K6.6mmol/l、Cl118mmol/l、Ca9.6mg/dl、Mg1.3mg/dl、無機リン3.4mg/dl、浸透圧306mOsm/kg、総ビリルビン0.2mg/dl、CRP0.2mg/dl
<血算>
WBC11.4x1000/μl、RBC3.46x100万/μl、Hb10.4g/dl、Plt298x1000/μl
<凝固>
APTT29.6秒、PT90.3%、PTINR1.06
<静脈血ガス>
PH6.98、PCO230Torr、PO231Torr、HCO37mmol/l、TCO28mmol/l、乳酸(全血)1mmol/l
pH6.98(V)BGAとしては7.016に相当。
PCO230(V)BGAとしては24に相当。
HCO3-7(V)BGAとしては5.5に相当。
AG=136-118-5.5=12.5(血清Alb値は3.8であり補正不要と判断)
<随時尿>
比重1.013、pH6.5、糖-、蛋白2、潜血1、ケトン体-、亜硝酸塩-、WBC定性2、細菌2、尿素窒素355mg/dl、クレアチニン87mg/dl、Na74mmol/l、K14mmol/l、Cl44mmol/l、浸透圧331mOsm/kg

【プロブレムリスト】
#.意識障害
#.糖尿病、高血糖
#.下痢、食思不振
#.アルコール依存、多飲
#.急性腎障害
#.回腸導管置換術後
#.高Cl性正AG性代謝性アシドーシス

著しいアシデミアを認め危険な状態です。このアシデミアの病態や原因の評価および治療方針を速やかに行う必要があります。酸塩基平衡に影響を及ぼす病態が多数存在しているようです。どのように考えればよいでしょうか?

著者プロフィール

MedPeer(メドピア)●日経メディカル Onlineとメドピア(株)が共同運営する医師向けコミュニティーサイト。著名臨床研修指定病院との連携によるオンライン症例検討、薬剤に関する口コミ評価、各種のアンケートなどを実施。

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