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第68回 主訴:[動悸][不安][食欲不振]
動悸、食欲不振を主訴に来院した72歳女性
太田大介(聖路加国際病院)

2013/09/20

聖路加国際病院 太田大介先生

【症例】 72歳、女性

【主訴】 動悸、不安、食欲不振

【現病歴】
来院2ヶ月前から、食欲不振、動悸を来たすようになった。このため、近くの消化器内科を受診し、上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査を施行されたが問題を認めなかった。食欲不振に対して、スルピリド150mg/日を処方され、食事摂取量はやや改善傾向にあったが、動悸、漠然とした不安感は改善せず、うつ病が疑われ、当科を紹介された。抑うつ状態に対して、当科で抗うつ薬ミアンセリン10mg/日を投与開始したしたところ、傾眠傾向が強く出て、翌日の朝になっても十分に覚醒しないことが続き、服薬は7日間で中止し、当科を再診した。

【既往歴】 特記すべきことなし

【アレルギー】 そば

【入院時身体所見】
身長142cm、体重39kg。
意識清明、体温36.7℃、呼吸16回/分、脈拍74回/分(不整)、血圧114/68mmHg、SpO2 97%(室内気)
顔色:良好、表情:仮面様とは言い難い。頭頚部:顔面神経麻痺なし。眼球結膜:黄染なし、眼瞼結膜に貧血なし、頚部リンパ節腫脹なし。胸部:呼吸音 清、心雑音なし。腹部:平坦・軟、圧痛なし。腸音正常。四肢:浮腫なし。
神経学的所見:両上肢に安静時振戦。両上肢に固縮を軽度認める。初診時には歩行して受診したが、再診時には車椅子で受診。

【入院時検査所見】
WBC 7,400/μL,Hb 13.2g/dL,MCV 92.3fL,PLT 17.6万/μL,BUN 9.5mg/dL,Cr 0.53mg/dL,TP 6.5g/dL,Alb 3.6g/dL,T-bil 0.3mg/dL,AST 20IU/L,ALT 13IU/L,ALP 173IU/L,γ-GTP 12IU/L,LDH 176IU/L,Na 139mEq/L,K 4.0mEq/L,Cl 103mEq/L,CRP<0.04mg/dL
TSH:4.740μIU/mL、frT3:2.4Lpg/mL、frT4:1.33ng/dL
尿定性:SG 1.014,Pro-,OB-,Glu-,WBC-,Uro±,ケトン-
心電図:74/分、洞性、心室性期外収縮が単発でみられる。 胸部単純写真:大動脈の蛇行があり、動脈壁の石灰化は認めず、肺野に浸潤影なし。


【追加の問診事項】
1.2か月前に抑うつをきたすきっかけとして思い当たるものは?
  受診の半年前に飼い犬が死んだことが悲しかったがその直後は抑うつ的では
  なかった。2か月前には生活上の大きな変化はない。
2.抑うつ気分、興味減退は?
  症状がどんどん悪化していることが不安、しかしまた元気になれば友達と食事に
  行きたい気持ちはある。
3.睡眠はとれているか?
  眠れないのでエチゾラム0.5mgを頓服で使っている、娘によれば最近時々おかしな
  夢を見て叫ぶことが何度かあった。

Q どのような疾患を疑い、どのような検査を追加しますか。

補足説明(1)
【追加問診所見】 
転倒や失神:半年ほど前に立ちあがった時に転倒し、意識を失って救急外来に運ばれたことがある。
幻視:REM睡眠行動障害としての眠っているときに悪夢を見た以外の覚醒時の幻視はみられていない。

【追加検査所見】
頭部MRI:海馬をはじめ大脳の萎縮認めず、虚血性変化もみられない。
脳波:徐波がやや多くみられました。
SPECT:後頭葉の脳血流低下を認める。
MIBG心筋シンチグラム:心筋へのMIBGの取り込みが低下。(H/M比1.50(早期相)1.26(遅延相)
起立負荷心電図:起立直後に収縮期血圧が35mmHg以上低下、不整脈認めず


著者プロフィール

MedPeer(メドピア)●日経メディカル Onlineとメドピア(株)が共同運営する医師向けコミュニティーサイト。著名臨床研修指定病院との連携によるオンライン症例検討、薬剤に関する口コミ評価、各種のアンケートなどを実施。

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