日経メディカルのロゴ画像

第34回 主訴: [食事摂取量低下 右頸部痛]
頸部痛で食事摂取ができなくなってきた96歳女性
織田錬太郎(亀田総合病院)

2012/10/10

◎亀田総合病院 織田錬太郎先生

【現病歴】
入院7日前から全身倦怠感が出現した。
入院2日前より右頸部から肩にかけての疼痛が出現し、食事が摂取できなくなってきた。
入院1日前より水分もとれなくなったため、午前中に当院救急外来を受診した。
救急外来受診時に血液・尿検査、胸部・頸椎・右肩甲骨X線検査、頭部CT・MRIを施行されたが明らかな異常なく、頸椎症に対してアセトアミノフェンの処方で帰宅となった。
その後も食事はとれず、痛みも改善が無いため夜に再度救急外来を受診した。再度血液検査を施行されたが変化無く、翌日消化器内科・耳鼻科外来受診の後、当科再診の方針となり帰宅となった。
入院当日に予定通り消化器内科を受診し上部消化管内視鏡検査を施行された。観察範囲で通過障害や悪性腫瘍は認めなかった。耳鼻科を受診するも飲水でやや誤嚥がみられるもののファイバースコープでは咽頭や喉頭に明らかな異常所見を認めず当科(2回目の救急受診で診察をした医師の外来)再診となった。
再診時もCKが274 IU/L→477 IU/Lと軽度上昇を認める以外は前日と比較し明らかな変化を認めなかったが原因が特定できず食事摂取ができていないため原因精査目的に入院となった。

<Review of system>
陽性所見:右頸部痛、食事摂取量低下、全身倦怠感
陰性所見:悪寒、戦慄、不眠、体重減少、寝汗、頭痛、めまい、咽頭痛、嚥下時痛、耳鳴、
     鼻汁、胸痛、呼吸苦、起坐呼吸、咳、痰、喀血、吐血、腹痛、嘔気、嘔吐、下
     痢、便秘、血尿、頻尿、排尿時痛、残尿感、失禁

【既往歴】
右乳癌(30歳、手術)、高血圧症、骨粗鬆症、左膝変形性関節症、左膝偽痛風

【家族歴】 なし

【生活歴】
ADLは自立
喫煙歴:なし、飲酒歴:なし、ペット:犬1匹(外で飼っている)
温泉・循環風呂:入っていない、sick contact:ひ孫が1カ月前に水痘、海外渡航歴:なし

【内服歴】
アムロジン(アムロジピン) 5mg、オルメテック (オルメサルタン)10mg、アロリン (アロプリノール)100mg各1日1回1錠朝食後、ベネット5mg(リセドロネート)1日1回1錠起床後

【入院時現症】
身長161cm 体重45.7kg
バイタルサイン:意識清明、体温37.2℃、血圧162/92mmHg、脈拍 82回/分・整、呼吸数16回/分、SpO2 96% (Room air)
<頭頸部>
眼瞼結膜貧血なし、眼球結膜黄染なし、副鼻腔叩打痛なし、頸部リンパ節触知せず
右頸部から肩にかけて自発痛は認めるが、圧痛なし。甲状腺腫大なし、咽頭発赤なし、扁桃腫大なし、口腔内乾燥なし、口内炎なし
<胸部>心音:S1→S2→S3(-)S4(-)、第3肋間胸骨右縁にLevineII/VI度の汎収縮期雑音を認める。ラ音聴取せず。
<腹部>腸蠕動音正常、平坦かつ軟、圧痛・反跳痛・筋性防御なし。腫瘤触知せず。肝脾腫なし。
<背部>CVA叩打痛なし、脊椎叩打痛なし
<四肢>右足背から足関節にかけて発赤・腫脹・熱感を認める。
<神経学的所見>
・意識・精神 :意識清明、見当識(時間、場所、人)正常、けいれんなし
・言語:正常、失語なし、構音障害なし、嗄声なし
・脳神経:II~XII異常なし
・運動機能:筋トーヌスは上肢・下肢ともに正常。筋萎縮なし。線維束性れん縮なし。
      不随意運動は安静時に左手にpill-rolling tremorを認める。
      無動・運動緩慢なし。麻痺なし。上肢Barre徴候陰性。
 MMT:三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、腸腰筋、大腿四頭筋、大腿屈筋群、腓腹筋
     は左右とも4。前脛骨筋は左が4、右は疼痛のため評価できず。
・感覚:触覚に関しては左第1-3指のしびれを認める。その他異常所見なし。
・反射:深部腱反射は異常反射や反射の左右差なし。
    病的反射はBabinski反射・Chaddock反射陰性。
・協調運動:指鼻試験異常なし。回内回外試験異常なし。
・自律神経:排尿・排便障害なし。起立性低血圧なし。
・歩行:正常歩行、Romberg徴候陰性。

著者プロフィール

MedPeer(メドピア)●日経メディカル Onlineとメドピア(株)が共同運営する医師向けコミュニティーサイト。著名臨床研修指定病院との連携によるオンライン症例検討、薬剤に関する口コミ評価、各種のアンケートなどを実施。

連載の紹介

MedPeer ケース・カンファレンス
医師が医師のために運営する日本最大の医師限定掲示板「MedPeer」では、会員医師がネット上で自由に参加できる症例検討会を実施中(iCC;インタラクティブ・ケース・カンファレンス)。その中から興味深い症例をピックアップして紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ