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第30回 主訴:[嚥下時の喉詰まり感]
特記すべき既往のないヘビースモーカーの60歳男性が、5カ月間で徐々に進行する嚥下時の喉詰まり感と体重減少を主訴に、大学病院から紹介入院した。
若林崇雄(江別市立病院)

2012/08/30

◎出題:江別市立病院 若林崇雄先生

当院ではcase presentationを行う場合、「主訴」を廃止しました。「主訴;発熱」であっても鑑別が狭まらず、かえって迷いが深くなるからです。Presentationで大事なことは場のセッティングによって異なると思いますが、ここでは診断です。よってdiagnostic presentationという診断にわかりやすく迫る方法を提示したいと思います。

当院では「the patient is a○year old○with○、who○to our hospital because of ○for ○」を訳した「○のある○歳の○性が、○間続く○で○した」という一文で始めます。ここにpresenterが必要と考える情報を詰め込むわけです。すると聴衆は疾患を想起しやすくなります。これをO.S.(opening statement)と呼びます。
それではO.S.を…(ここである程度の目星をつけてください)

「特記すべき既往のないヘビースモーカーの60歳男性が、5カ月間で徐々に進行する嚥下時の喉詰まり感と体重減少を主訴に、大学病院から紹介入院した。」

(1)診断は?
(2)鑑別は?

補足説明(1)

補足情報
現病歴の代わりに紹介状全文(個人情報保護のため一部改変・□大学病院整形外科より)
※時系列は江別市立病院入院を起点に修正記載しています。

「この度は突然のご紹介でまことに恐れ入ります。○○様は(江別市立病院への)入院4カ月前より特に誘因なく固形物も液体も嚥下困難が生じました。症状が持続し、入院3カ月前に△病院内科に受診、上部内視鏡、下部内視鏡、胸部CTが施行されましたが異常を認めませんでした。次いで同院耳鼻咽喉科に受診し喉頭ファイバーを受けましたが異常なし。入院3カ月前には□大学病院耳鼻咽喉科で同様の検査を受けましたが異常ありませんでした。入院2カ月前に☆クリニックにかかりましたが、異常を認めず◇病院耳鼻咽喉科を紹介され食道バリウム検査を受けて異常ありませんでした。そこで万策つきて入院1カ月前に以前頸椎を手術した当科へ受診されました。このような状況下で○○様はたいへん困っておられます。よりglobalな視点から原因究明と治療が必要と存じ、貴院を紹介させていただきたいと存じます。お手数ですがよろしくお願い申し上げます。」

病歴では嚥下そのものは可能だが、嚥下後にすぐ嘔吐したりすることを繰り返している、とのことでした。当初は固形物の嚥下が可能でしたが、徐々に液体しかうけつけなくなっているということも分かりました。

既往;
40年前:胃潰瘍→2/3胃切除
2年前:頸椎椎弓切除 現在症状なし
生活;
喫煙:60本/日、40年 入院3カ月前から禁煙
飲酒:機会飲酒(2~3回/月)
ペット、温泉、海外旅行なし

著者プロフィール

MedPeer(メドピア)●日経メディカル Onlineとメドピア(株)が共同運営する医師向けコミュニティーサイト。著名臨床研修指定病院との連携によるオンライン症例検討、薬剤に関する口コミ評価、各種のアンケートなどを実施。

連載の紹介

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