◎出題:虎の門病院 林恭秉先生
【患者プロフィール】
57歳、男性
【主訴】 倦怠感・ほてり・脱毛
【家族歴】 特記すべきことなし
【既往歴】
43歳:下肢脱力にて救急病院を受診し低K血症を認め甲状腺機能亢進症(Basedow病)に伴う周期性四肢麻痺と診断された。その後4年間内服治療を受けたが、その後自己中断した。
【嗜好歴】 喫煙:15本×40年、飲酒:機会
【アレルギー】 特になし
【職業】 トラックの運転手
【現病歴】
4、5年前より性欲低下(朝立ちは時にはあるものの性的刺激による勃起はなくなった)を認め、3年前から記憶力が悪くなったと感じるようになった。病院には通院せず経過を見ていたが、2010年8月より倦怠感、食欲低下、体重減少に加えて顔面の紅潮、上半身の発汗などの症状が出現した。さらに前頭部奥の重い感じを認めた。症状が続くため2010年12月に近医を受診した。
【来院時現症】
身長157.5 cm、体重58.0 kg (10年以上前は69.5 kg)、BMI 26.8
Vital:血圧 111/77 mmHg、体温 36.0℃、脈拍 72回/分
頭頸部:眼瞼結膜貧血無し、眼球結膜横断無し、咽頭発赤無し、リンパ節腫脹無し、びまん性甲状腺腫大軽度、甲状腺圧痛無し、眉毛外側は保たれている
胸部:no rales、心音整
腹部:平坦、軟、腸雑音亢進無し
四肢:振戦なし、浮腫なし
ROS: 四肢抹消の冷感あり。夜間尿、多飲はなし。昨年夏より前頭部奥の重い感じがある。
L/D)
生化学:総蛋白 7.3 g/dL、AST(GOT) 25 IU/L、ALT(GPT) 25 IU/L、LD 184 IU/L、ALP 233 IU/L、γGT 27 IU/L、尿素窒素 16 mg/dL、クレアチニン0.5 mg/dL、尿酸 4.1 mg/dL、Na 135 mmol/L、K 4.4 mmol/L、Cl 94 mmol/L、Ca 9.4 mg/dL、無機リン 3.8 mg/dL、総ビリルビン 0.4 mg/dL、
血算:白血球数 8.7 x1000/μL(分画 好中球 41%、好酸球 7.0%、好塩基球 0.5%、単球 6.5%、リンパ球 45%)、赤血球数 3.83 x100万/μL、ヘモグロビン 11.4 g/dL、ヘマトクリット 33.4 %、MCV 87.2 fl、MCH 29.8 pg、MCHC 34.1 %、血小板数 218 x1000/μL、
内分泌検査:FT4 0.62 ng/dL、TSH 0.282 μU/mL、TRAb 18.2%
この時点で、甲状腺機能低下症と診断されレボチロキシン 25μg/日投与を開始された。2週間の経過で症状改善せず、再度受診した。
<質問1>
この時点でのどのような疾患を想定し、問診・身体所見・検査を追加するでしょうか?
MedPeer ケース・カンファレンス
第22回 主訴: [全身倦怠感][脱毛][ほてり]
倦怠感・ほてり・脱毛を主訴に来院した57歳男性
林恭秉(虎の門病院)
2012/06/08
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著者プロフィール
MedPeer(メドピア)●日経メディカル Onlineとメドピア(株)が共同運営する医師向けコミュニティーサイト。著名臨床研修指定病院との連携によるオンライン症例検討、薬剤に関する口コミ評価、各種のアンケートなどを実施。

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