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第20回 主訴: [全身の痛み][左側腹部腫瘤]
全身の痛みを主訴に来院した85歳男性
米田道嗣(市立福知山市民病院)

2012/05/21

◎出題:市立福知山市民病院 米田道嗣先生

本例は、近医から当院紹介:救急外来→入院となった方です。

【患者プロフィール】
85歳、男性

【主訴】 全身の痛み、左側腹部腫瘤

【現病歴】
(本人がしんどいため、しっかりした病歴が取れず)
発作性心房細動、慢性心不全にて近医Followされている85歳男性。ADLに関しては少し悪い方(後述)。
入院2週間前から緩徐発症の全身の痛みを自覚していた。2~3日前からさらに増悪しており、トイレに行くのも大変だったとのこと。入院3日前から37度台の微熱があったため近医A(内科)で内服薬処方されて経過観察されていた。頭痛も出現したため当院救急搬送となった。なお頭痛の詳細も明確には聴けなかったが、どちらかというと頸部のあたりの痛みで、Sudden onsetではない。人生最悪の痛みというほどではない。
なおよく聞くとこの他に、入院の3カ月前から左側腹部にチクチクする痛みを自覚しており、拳大の赤黒色の腫瘤を認めて近医B(外科)を受診、蜂か識炎との診断で切開・排膿して抗生剤を間欠的に投与(セフォチアム、セフジトレン、レボフロキサシン)されていたが排膿は継続していたとのことであった。入院の1日前にもつたい歩きで近医B受診していたとのこと。

【ROS】
ADL:もともと入院前日までつたい歩き、排泄は自立していた、食欲低下あり。吐気・嘔吐なし。発熱に関して、悪寒・戦慄なし。両側で軽度難聴。呼吸困難なし、呼吸で増悪しない左側腹部痛あり、血痰・喀痰・咳嗽なし。便秘あり、血便なし。排尿障害は軽度自覚。排尿時痛・頻尿の悪化などの増悪はなし。『脊髄』に疼痛を自覚している。最近の転倒などの既往はなし。うつ症状なし、睡眠障害あり

【既往歴】
19歳:陳旧性肺結核、肋膜炎
82歳:前立腺肥大症
84歳:胸椎圧迫骨折
85歳:発作性心房細動

【薬剤歴】
ベラパミル80mg/日、ジギタリス0.125mg/日、ラベプラゾール10mg/日、レボフロキサシン250mg/日

【アレルギー】 とくになし

【生活歴】 喫煙:なし 飲酒:ビール350mL/日 妻や子供と4人暮らし

【入院時身体所見】
身長163cm、体重47kg
血圧133/59mmHg、脈拍69回/分(reg. irreg:Afではなし)、体温37.5℃、呼吸12回/分、SpO2:97%(室内気)、意識やや混濁で会話は可能であるが疼痛のため指示に従えず。
一般状態:不良、顔は痛みのため苦悶様でベッドの移動も全介助。(病歴で確認したが、入院前日までは歩いていたとはあまり思えない感じ)。
頭頸部:口腔内乾燥、咽頭発赤なし、項部硬直著明で前傾姿勢できず。頸部を回旋できず(疼痛のためしてもらえない)。
胸部:呼吸音 清、心尖部で期外収縮で増強しない収縮期雑音あり(Levine II/VI)
腹部:平坦・軟、圧痛・反跳痛なし。腹部正中にOpe scarあり、臍 左側に腫瘤および排膿あり。腫瘤周囲に熱感あり
四肢・末梢:浮腫なし、皮膚乾燥、チアノーゼなし、ばち指なし。体表リンパ節触知せず

神経学的所見:
脳神経:疼痛のため評価できないが、明らかな神経巣症状なし
MMT:上下肢・近位/遠位・左右差は目立たないが、全体に3+~4-と低下あり疼痛のため指示に従えない、臥位にて体幹部はほぼ動けず、部位は特定できないが他動的に動かすと疼痛誘発し、本人は「脊髄が痛い」と言っている。叩打痛でも部位特定しがたい。

【入院時検査所見】
WBC 6000/μL(seg 70%、 Lym 20%、 mono 10%)、Hb 9.9g/dL、Hct 30.9%、MCV 89.8fl、Plt 20.1万/μL、TP 6.9g/dL、Alb 3.0g/dL、T-Bil 0.5mg/dL、AST 14IU/L、ALT 6IU/L、LDH 149IU/L、ALP 216IU/L、γ-GTP 15IU/L、CK 21IU/L、BUN 20mg/dL、Cr 0.6mg/dL、Na 145mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 107mEq/L、CRP 12.5mg/dL、血沈60分値87mm
尿定性:蛋白-、潜血-、糖-、白血球-、ケトン体-
心電図:異常なし(NSR)

著者プロフィール

MedPeer(メドピア)●日経メディカル Onlineとメドピア(株)が共同運営する医師向けコミュニティーサイト。著名臨床研修指定病院との連携によるオンライン症例検討、薬剤に関する口コミ評価、各種のアンケートなどを実施。

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