腹痛は、日常診療において最も一般的で重要な症状の1つである。しかし、腹痛の原因疾患は多岐にわたるため、いたずらに多くの検査を施行してしまう傾向にある。
このようなことを避けるためにも、腹痛の診断に当たっては、まず頻度の高いコモンディジーズの臨床像を十分に理解しておくことが重要である。疾患の多くは、臨床経過や痛みの部位、身体所見により診断することができる。コモンディジーズの典型的な経過を理解することで、そこから外れた患者さんに対しても鑑別するべき疾患を想定し、効率の良い必要な検査を進めることができるのである。
この連載では、腹痛を訴える患者を診察する際のポイントについて、前半では診察や検査方法などのポイント別に、後半では痛みの部位別に解説していく。(柏木 宏)