<処方箋の具体的内容は>
<何が起こりましたか?>
<どのような過程で起こりましたか?>
・前回の診察から1週間後、患者が再度来院し、「インスリンが変色しているが、大丈夫か?交換は可能か?」と訴えた。さらに患者は「自分は長い間インスリン治療をしてきたが、変色は今回が初めてだ。自分の手技に落ち度はないはずだ」と述べた。
・患者に処方していたのは懸濁インスリン製剤であるが、患者が持参した製剤を確認したところ、乳白色の固まりが肉眼で認められた。
<どのような状態になりましたか>
・この調査結果と逆血について患者に説明したところ、患者は納得していた。
<なぜ起こったのでしょうか?>
(1)注入後、注射針を抜く前に注入ボタンを離してしまった。
注入後に注射針が刺さった状態でカートリッジ内の圧力が低くなった場合、血液がカートリッジ内に逆流してしまう。
(2)注射針が血管に到達してしまって血液を吸い込んだ。
(3)注入部位を強くつまみすぎてしまった。
・患者は、インスリン使用歴が長く(糖尿病歴、20年程度)、さらに現在処方しているノボラピッドは他の医療機関にて長期に使用していたとのことから、当院では手技の確認を初回に簡単に行ったのみであった。従って、本剤の使用方法は全く問題ないと判断してしまった。
<二度と起こさないためには今後どうしますか?>
・注射針が血管に到達して血液を吸い込んだり、注入部位を強くつままないよう、ときどき手技の確認を行う。
・もしもカートリッジ内に異物があった場合は、使用しないように指導する。(但し、逆血に関しては、残りが少ない場合、緊急の場合はそのまま使用して差し支えないと指導する医療機関もある)。
・患者への服薬指導例を以下に示す。
「インスリンの使用歴が長いということですが、何かトラブルとかありませんか?逆血などもありませんか?これまでそのような経験はないのですね。しかし、機器もどんどん新しくなるので確認だけはしておきましょう。注入した後に針を抜く前に注入ボタンを離してしまったり、針が血管に到達してしまったり、注入部位を強くつまみすぎてしまったりすると、逆血を起こすことがあります。逆血となった場合には直ぐに知らせてください。」