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瞼のかゆみを訴える患者に散瞳薬を処方!?

2013/04/09

<処方箋の具体的内容は>

70歳代の女性
<処方1> 眼科
ネオシネジンコーワ5% 点眼液 (10mL) 1本
1日1回
両眼

<何が起こりましたか?>

・患者は瞼のかゆみを訴えていたが、ネオメドロールEE軟膏<フラジオマイシン硫酸塩・メチルプレドニゾロン>と間違えて、散瞳目的の目薬を処方してしまった。

<どのような過程で起こりましたか?>

・患者は6年ほど前に網膜剥離の手術を受けて以来、定期検診にて経過観察中であった。
・今回の検診で、患者から目の見え方に違和感はないが瞼にかゆみがあると訴えがあったため、ネオメドロールEE軟膏<フラジオマイシン硫酸塩・メチルプレドニゾロン>を処方することにした。
・処方後、しばらく後に保険薬局から電話があり、「定期検診で受診された患者さんですが、今回、散瞳薬のネオシネジンコーワを処方されていますが、瞼のかゆみのため軟膏を処方してもらったとおっしゃっております。処方された薬と患者さんのお話に齟齬がありましたので、念のためお電話させていただきました。」と連絡があった。
・処方した薬を確認したところ、ネオメドロールEE軟膏ではなく、間違えてネオシネジンコーワ5%点眼液<フェニレフリン塩酸塩>を処方していたことが分かった。

<どのような状態になりましたか>

・ネオシネジンコーワ5%点眼液を中止し、ネオメドロールEE軟膏に変更することを薬剤師に伝え、改めて患者に使い方を説明するよう依頼した。
・幸いにも、薬が患者の手に渡る前に分かったため、有害事象や治療に対する影響は見られなかった。

<なぜ起こったのでしょうか?>

・ネオシネジンコーワとネオメドロールは先頭2文字が一致しているため、先頭2文字を入力し候補医薬品名から選ぶ際に、誤って選択してしまったと考えられる。
・両薬とも眼科領域で用いる薬であったため、候補として表示されやすくなっていた可能性がある。

<二度と起こさないためには今後どうしますか?>

・電子カルテや処方オーダリングシステムにおいて、処方の入力方法を3文字入力に変更する(先頭3文字を入力すると先頭が一致する候補医薬品が表示される入力方式)。先頭の一致が2文字以下の候補が表示されなくなるため、3文字入力により入力間違えを減らすことができる[文献1)]。
・間違えやすい医薬品については、一般名や薬効も電子カルテや処方オーダリングシステム上で表示するように変更するなど工夫を行い、見間違えにくくする。
・特に間違えやすい医薬品や、間違えた際に重大な事故につながる医薬品については、処方時に間違えていないか、電子カルテや処方オーダリングシステム上でアラートを表示するようにする。
・今回の事例では、患者に処方薬について説明をしておいたことにより、薬剤師や患者のチェックが働きやすくなったと考えられる。処方する薬やその使用法について患者に説明することは、治療面だけでなく事故防止の観点でも有用である。患者の理解度を高めるため説明を行うように心がける。
<参考文献>
1) 渡部恵 他, 薬学雑誌, 122(10):841-847, 2002.

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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