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クラリスのつもりがロラタジンを処方、なぜ?

2013/03/12

<処方箋の具体的内容は>

20歳代 男性
<処方> 病院 内科
【般】ロラタジン錠(10) 1錠
1日2回 朝夕食後
14日分
その他、ツムラ青竜湯、オノンカプセルなど

<何が起こりましたか?>

・鼻炎患者に対しクラリス<クラリスロマイシン>を処方したつもりであったが、なぜか名称も薬効も似ていないロラタジン(販売名:クラリチンなど)を一般名処方してしまっていた。

<どのような過程で起こりましたか?>

・鼻炎の訴えで来院した患者に対して、副鼻腔炎が疑われたため、14員環マクロライド系抗生物質であるクラリスの少量投与(適応外)を開始することにした。
・処方後しばらくして、保険薬局から電話があり「副鼻腔炎でロラタジンを処方された患者さんですが、服薬回数が1日2回になっています。ロラタジンの場合、添付文書では1日1回とされていますが、いかがいたしましょうか?」と連絡があった。
・アレルギー治療薬であるロラタジンを処方した患者に心当たりがなかったため詳しく聞いたところ、当該患者はクラリスを処方しようとした患者のことで、なぜかクラリスでなくロラタジンを処方してしまっていたことが分かった。

<どのような状態になりましたか>

・処方薬が患者の手に渡る前に分かったため、幸いにも治療効果などに影響はみられなかった。

<なぜ起こったのでしょうか?>

・2012年4月より一般名処方加算が開始されるなど、医薬品を一般名で処方する動きがあり、当院でも一般名で処方しても差し支えない医薬品では、一般名処方を行うようになってきていた。
・当院のオーダリングシステムでは、先発医薬品の販売名(もしくは一般名)で入力を行えば、処方箋を印刷する際に一般名処方が可能な医薬品は一般名に置き換わるような仕組みになっていた。このシステムでは処方する薬の一般名を覚えていなくても、あらかじめ決められた医薬品については自動的に一般名処方できるため、負担が小さく済んでいた。
・今回の処方では、先発医薬品名のクラリスを入力しようとして誤ってクラリチンを選択して処方してしまった可能性がある。そのため、処方箋には、クラリチンが一般名処方の「【般】ロラタジン錠(10)」に置き換えられ印字されたと考えられる。一般名への置き換えにより、クラリスとクラリチンの間違えではなく、クラリスと名前の似ていないロラタジンを間違えたように見えたと考えられる。
・カルテやオーダリングシステムへは先発医薬品の販売名で入力を行っているが、処方箋には一般名に置き換えられて印字される。処方箋の一般名をみた薬局から一般名で問い合わせを受けても、一瞬何のことか分からなかった。
・今回のクラリス<クラリスロマイシン>とクラリチン<ロラタジン>は1日の投与回数が異なっていたため、薬局でのチェックにより発見されたが、両薬とも副鼻腔炎や鼻炎などに対して使用するため、見つからずにすり抜けてしまう可能性もあった。

<二度と起こさないためには今後どうしますか?>

・一般的な注意事項であるが、先頭が一致した医薬品名はコンピューター上で入力する際に誤って入力することが多いため、似ていて間違えやすい医薬品名について注意するようにする。
・処方の入力方法を3文字入力に変更する(先頭3文字を入力すると先頭が一致する候補医薬品が表示される入力方式)。本事例のクラリスとクラリチンの間違いについては防止できないが、先頭2文字のみが一致する候補が表示されなくなるため、3文字入力により入力間違えを減らすことができる[文献1)]。
・先発品名で処方を入力し、処方箋には一般名で印字されるシステムでは、間違った医薬品を入力した際に全く異なる一般名が印字されるため、間違いの発見や原因の推測が行いにくくなる場合がある。一般名処方が多くなれば、薬局などからの問い合わせも一般名で行われるようになることが予想されるため、主要な医薬品の一般名を把握し、処方箋発行時の一般名への置き換えを念頭においてトラブル対応をする必要がある。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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