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規格の違いで支払額が数万円も違う?

2013/02/26

<処方箋の具体的内容は>

30歳代 男性
<処方> 病院 血液内科
スプリセル錠 20mg 5錠
1日1回 朝食後
90日分

<何が起こりましたか?>

・患者にスプリセル錠 20mg <ダサチニブ>を 1回5錠処方したが、50mgを1回2錠にしたほうが窓口負担額だけでも数万円安くなることが分かり、処方を変更した。

<どのような過程で起こりましたか?>

・患者は慢性骨髄性白血病であり、スプリセル錠 20 mg<ダサチニブ> を1回5錠(1回 100mg)、1日1回で処方した。
・処方して少し後に、保険薬局から電話があり「スプリセル錠 20 mg を1回5錠で処方された患者さんですが、この場合、50 mg を1回2錠にしたほうが、負担額が安くなります。本患者さんでは 2万8千円程度安くなるため、50mg 錠に変更したほうがよろしいかと思いますが、いかがいたしましょうか」と連絡があった。
・確認したところ、スプリセル錠には院内採用品の20mgの他に 50mgがあり、50mgを使用したほうが 1日あたりの薬剤費、負担額が大きく低下することが分かったため、提案どおり 50mg錠を1回2錠に変更することにした。

<どのような状態になりましたか>

・患者が処方薬を受け取る前の段階で変更になったため、支払い金額や処方薬の服用状況には影響はなかった。
・スプリセル錠の規格を変更することにより、患者の負担額を下げることができた。また、患者が1回に服用する錠数も5錠から 2錠に減らすことができ、服薬上のメリットがあったと考えられる。

<なぜ起こったのでしょうか?>

・院内採用に 20mg錠があったため、よく考えずにスプリセル錠 20mg を 1回5錠で処方してしまった。
・スプリセル錠の薬価は 20mg 錠が 3,897.3 円、50mg 錠が 9,214.2 円である(2013年2月現在)。1回100 mg、1日1回で処方した場合、20mg 錠で処方すると1日あたり 1000円程度高くなる。これを90日間処方した場合、窓口負担額が3割負担であっても約2万8千円の差が出ることになる(高額療養費制度を用いた場合、薬剤料全体の差額と、窓口負担額の差額は変わらないが、払い戻しにより最終的な患者負担の差額は小さくなる)。

<二度と起こさないためには今後どうしますか?>

・複数の規格が存在する医薬品では、同一服用量で比較した場合、薬剤費に差がでる場合があることを認識し、負担額が小さくなるように気をつけて処方するようにする。基本的には大きい規格の製剤で処方したほうが、負担額が小さくなることが多い。
・特に薬価が高い医薬品では、規格間の差額が大きくなり、患者への影響も大きくなるため注意する。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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