<処方せんの具体的内容は>
<何が起こりましたか?>
<どのような過程で起こりましたか?>
・2010年3月にジスチグミンの添付文書が改訂になり、排尿困難に対する用法・用量が変更になった。従来は成人に対し、1日5~20mgであったが、投与量が多いほど重篤な副作用であるコリン作動性クリーゼが起こる可能性が高まるため、添付文書上の排尿困難に対する用法用量が、1日1回5mgのみになった。
・添付文書の改訂にあわせ、前回の処方から、ウブレチドの1日量を10mgから5mg(1回5mg、1日1回)に変更した。
・患者の症状は安定しており、用量以外の変更はなかったため、用量の変更について詳しく説明せずに「いつもの排尿しやすくする薬を出しておきます」と説明を行った。
・今回の診察時に患者から「なんで薬が減っていたのか」と尋ねられたが、詳しく聞くと患者は「自分が生活保護を受けているから医療費削減のために薬を減らされた。嫌がらせだ!」と思い込んでいたことが分かった。
<どのような状態になりましたか>
・患者は説明を聞き「そういうことなら納得した」と述べ、誤解を解くことができた。
・患者は処方薬が減量された理由を誤解し、不満を持っていたが、処方通り服用していたため、幸い排尿困難の悪化や副作用はみられなかった。
<なぜ起こったのでしょうか?>
・患者は生活保護を受けていることを気にしており、ジスチグミンの減量についても生活保護と結び付けて考え、嫌がらせをされたと思ってしまったと考えられる。
<二度と起こさないためには今後どうしますか?>
・患者によっては、処方量の変更を不満に思ったり不安になったりすることがあるため、説明を省略しないようにする。