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抗不整脈薬服用中にモキシフロキサシンを処方

2012/08/28

<処方せんの具体的内容は>

60歳代男性
<処方1> 総合診療科
アベロックス錠400mg 1錠
1日1回 朝食後
3日分
<処方2> 総合診療科
クラビット錠500mg 1錠
1日1回 朝食後
3日分

<何が起こりましたか?>

・咳が続く患者にアベロックス錠<モキシフロキサシン>を処方したところ(<処方1>)、薬局からの疑義照会で患者が抗不整脈薬のアンカロン<アミオダロン>を服用中であることが判明した。モキシフロキサシンはQT延長を引き起こす可能性があり、クラスIa、IIIの抗不整脈薬とは併用禁忌であるため、別のニューキノロン系抗菌薬であるクラビット錠<レボフロキサシン>に変更した(<処方2>)。

<どのような過程で起こりましたか?>

・患者は1カ月前から咳が続いており、なかなか治らないため本診療科を受診。ニューキノロン系抗菌薬のアベロックス錠400mg<モキシフロキサシン>を処方した。
・数時間後に保険薬局から電話があり、「アベロックス錠を処方された患者さんですが、他院で処方されたクラスIII群の抗不整脈薬のアミオダロンを服用されています。今回処方されたアベロックス錠はQT延長を起こす可能性があり、併用禁忌となっております。QT延長を起こしにくいニューキノロン系の抗菌薬が代替薬として考えられますが、いかがいたしましょうか?」との疑義照会を受けた。

<どのような状態になりましたか>

・アベロックス錠の処方を中止した。患者は腎機能に問題がなく、その他のリスク因子もなかったため、クラビット錠500mg<レボフロキサシン>に処方を変更した(クラビット錠は同じニューキノロン系抗菌薬だが、QT延長を起こしにくくアミオダロンと併用禁忌になっていない)。
・患者はアベロックス錠を服用しておらず、有害事象は発生しなかった。

<なぜ起こったのでしょうか?>

・患者がアミオダロンを服用していることを把握していなかった。
・診察前に問診票に回答してもらっていたが、患者は服用薬を記入していなかった。また、診療時には問診票を見て確認したのみで、口頭での服用薬の確認や、お薬手帳の確認を行わなかった。

<二度と起こさないためには今後どうしますか?>

・「問診票には服用薬や既往歴はないと書かれていますが、今ほかにお薬は服用していませんか」など、患者に口頭で問診票の内容を確認するようにする。
・お薬手帳でも服用薬を確認する。
・QT延長を引き起こす薬を処方する際には、他のQT延長を引き起こす薬の服用や先天性QT延長、電解質異常などのQT延長の危険因子となる患者背景がないか確認するようにする。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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