日経メディカルのロゴ画像

錠数が異なるシートは違う薬?

2012/07/24

<処方せんの具体的内容は>

70歳代 女性
<処方1> 病院の内科
ベイスン OD錠 0.3(0.3mg)
3錠
1日3回 毎食直前 60日分
オイグルコン錠 2.5mg
1錠
1日1回 朝食後 60日分

<何が起こりましたか?>

・2型糖尿病の患者にベイスン OD錠<ボグリボース>、オイグルコン錠<グリベンクラミド>を処方していたが、患者は自宅に残っていた21錠シートのベイスン OD錠と、新たに受け取った10錠シートのベイスン OD錠を別の薬だと勘違いし、それぞれ別に服用していた。

<どのような過程で起こりましたか?>

・患者は2型糖尿病であり、長期にわたってベイスン OD錠を処方していた。症状や血糖値などが安定していたため、前回も同様に<処方>の医薬品を処方した。
・前回の処方では、患者はいつもと違う薬局で薬の交付を受けたため、ベイスン OD錠はこれまで受け取っていた21錠シートから、10錠シートのものに変更になった。
・2カ月後の今回の受診時、患者はベイスン OD錠の21錠シートと10錠シートを持参し、「これはとても薬が似ている気がするが、”新しい食後のほうの薬”は何の薬ですか?」とたずねたため詳しく話を聞くと、当該患者は残薬の21錠シートのベイスン OD錠を食直前に、新しい10錠シートの錠剤を食後に服用していたことが明らかになった。

<どのような状態になりましたか>

・患者は前回処方したベイスン OD錠と残っていたベイスン OD錠をそれぞれ食後と食直前に服用しており、処方の倍量を服用していた。
・ベイスン OD錠はαグルコシダーゼ阻害薬で、食後に飲んだ場合は効果を示さないこともあり、幸い過量服用による低血糖などの副作用は見られなかった。

<なぜ起こったのでしょうか?>

・当該患者はもともと服薬アドヒアランスが悪く、21錠シートのベイスン OD錠が残薬として多数残っていた。患者の自宅に多数残薬があることを十分把握しておらず、処方量の調節を行っていなかった。
・前回ベイスン OD錠を交付した薬局でも、患者の自宅残薬については十分把握できていなかった。また、初来局の患者であったため、交付したシートの錠剤数がそれまでと違うことを認識できなかった。薬局でも服薬方法の説明を行っていたが、ベイスン OD錠を重複して服用することは予見しがたく、誤服用に対する直接的な注意喚起ができなかった。
・前回交付された医薬品の薬袋には、服用方法が正しく記載されていたが、患者は薬袋を読んでいなかった。
・ベイスン OD錠の21錠シートと10錠シートはシートの大きさが異なっており、患者が違う医薬品だと勘違いする危険性が高かった(図1)。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

この記事を読んでいる人におすすめ