<処方せんの具体的内容は>
<何が起こりましたか?>
<どのような過程で起こりましたか?>
・前回の処方では、患者はいつもと違う薬局で薬の交付を受けたため、ベイスン OD錠はこれまで受け取っていた21錠シートから、10錠シートのものに変更になった。
・2カ月後の今回の受診時、患者はベイスン OD錠の21錠シートと10錠シートを持参し、「これはとても薬が似ている気がするが、”新しい食後のほうの薬”は何の薬ですか?」とたずねたため詳しく話を聞くと、当該患者は残薬の21錠シートのベイスン OD錠を食直前に、新しい10錠シートの錠剤を食後に服用していたことが明らかになった。
<どのような状態になりましたか>
・ベイスン OD錠はαグルコシダーゼ阻害薬で、食後に飲んだ場合は効果を示さないこともあり、幸い過量服用による低血糖などの副作用は見られなかった。
<なぜ起こったのでしょうか?>
・前回ベイスン OD錠を交付した薬局でも、患者の自宅残薬については十分把握できていなかった。また、初来局の患者であったため、交付したシートの錠剤数がそれまでと違うことを認識できなかった。薬局でも服薬方法の説明を行っていたが、ベイスン OD錠を重複して服用することは予見しがたく、誤服用に対する直接的な注意喚起ができなかった。
・前回交付された医薬品の薬袋には、服用方法が正しく記載されていたが、患者は薬袋を読んでいなかった。
・ベイスン OD錠の21錠シートと10錠シートはシートの大きさが異なっており、患者が違う医薬品だと勘違いする危険性が高かった(図1)。