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併売品を先発と後発の関係と思い込んでいた患者

2012/05/08

<処方箋の具体的内容は>

60歳代の男性
<処方1> クリニックの内科
テオドール錠100mg 2錠
1日2回 朝食後・就寝前
28日分
パルミコート200μg
タービュヘイラー56吸入 1本
1日2回
1回1吸入
クラリシッド錠200mg 2錠
1日2回 朝夕食後
7日分
 
 

<何が起こりましたか?>

・風邪症状のある喘息患者にクラリス<クラリスロマイシン>を処方しようとしたところ、患者が、クラリスだと咳き込む感じがするが、クラリシッド<クラリスロマイシン>は大丈夫なので変えてほしいと訴えた。

<どのような過程で起こりましたか?>

・当該患者には、風邪の症状を訴えた時に何度かクラリスを処方したことがあった。
・前回風邪を引いた時には、患者の都合で別の病院を受診し、クラリシッドが処方されていた。この際に「以前と同じ薬を出します」と説明されており、薬剤師からも「同じ成分でメーカー違い」と説明を受けていた。
・患者は喘息患者であり、それまでクラリスを服用すると咳込む感じがあったが、クラリシッドでは咳込む感じがなく、風邪の咳も早く治ったように感じた。
・今回風邪の症状で受診した患者は、前回の経験からクラリシッドを処方してほしいと訴えた。
・クラリスとクラリシッドは双方ともに先発医薬品で、同じ製剤であると認識していため不思議に思ったが、患者の希望通り、クラリシッドを処方した。

<どのような状態になりましたか>

・診察後にメーカーに確認すると、両剤は全くの同一成分で同じ工場で製造しており、刻印のみが異なることがわかった。また、患者にも治療上の問題はなかった。
・クラリスとクラリシッドの薬価が異なるので、患者はクラリスをクラリシッドの後発医薬品だと思い、効き目も違うと思っていたことが後日分かった。

<なぜ起こったのでしょうか?>

・当該患者は、もともと薬に対して神経質であり、後発品での処方を希望しない患者であった。

<二度と起こさないためには今後どうしますか?>

・同じ製造ライン(製造工場)で製造されている併売品の切り替えにおいては、治療上の影響が現れることはほとんどないと考えられるが、患者によっては違う製剤であると認識してしまう可能性があることを認識しておく必要がある。
・同一成分で薬剤名が異なるものには、後発品と先発併売品があり、患者に合わせて丁寧な説明が必要である場合もあることを再認識する。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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