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インスリンを振っただけで十分混和せずに使用!

2012/01/10

<処方せんの具体的内容は>

50歳の男性
<処方1> 病院の内科
ノボラピッド30ミックス注フレックスペン 1キット
1日2回 朝夕食直前 4単位ずつ

<何が起こりましたか?>

・患者がノボラピッド30ミックス注フレックスペン<インスリン アスパルト(遺伝子組換え)>の混和が不十分なまま使用していた。

<どのような過程で起こりましたか?>

・患者に初めて処方したときに、空打ちすること、混和すること、未使用の注射は冷蔵庫に保管することなど、一般的な使用法の説明をした。
・病院の薬剤部からの連絡で、数回後の来院時に患者に混和手技を実演してもらったところ、患者はノボラピッド30ミックス注フレックスペンを簡単に振っていただけで、混和されているかのチェックも行えていなかったことが判明した。

<どのような状態になりましたか>

・十分な混和が行われず、適切な単位のインスリンが量りとれていなかった可能性があるが、幸いにも、患者に低血糖や高血糖の有害事象は起きていない。
・薬剤師から患者に、蛍光灯の下でガラス玉が転がるところを見せ、これによって懸濁が行われる設計になっていることを説明し、ゆっくり振ることで懸濁されることを伝えたとのことだった。

<なぜ起こったのでしょうか?>

・初回処方時に使用方法について、十分な説明ができていなかった。
・薬剤師が患者に注射剤の患者様向け説明書を渡したが、内容が多いからと敬遠し、患者は読んでいなかったとのことだった。

<二度と起こさないためには今後どうしますか?>

・一般的な使用法の説明だけではなく、本剤の特性である「ガラス玉が転がることによって混和されること」を説明する。また、混和の手技そのものよりも、目視により、液が白く均一に濁ったことを確認し、次の操作に移るように説明する。
・1回の投薬ですべての説明を行うのではなく(初回は一通り説明が必要であるが)、診察時、投薬時に継続的に順次、注意すべき項目を確認していく必要がある。
・患者は、混和手技、混和確認方法について不確かな知識しか持っていないことが多いため、医師や薬剤師の前で注射操作を行ってもらい、微細にチェックして不備があれば注意することが必要である。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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