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眼科でワーファリンを処方されたワケ

2011/12/27

<処方せんの具体的内容は>

60歳代前半、女性
<処方1>病院の整形外科
エビスタ錠60mg
1錠 1日1回
朝食後
30日分
*その他処方薬記載省略

<何が起こりましたか?>

・眼科から処方されたワーファリン<ワルファリンカリウム>を服用していた患者に、骨粗鬆症に対してエビスタ錠<ラロキシフェン塩酸塩>を処方してしまった。

<どのような過程で起こりましたか?>

・患者は骨粗鬆症であり、エビスタ錠を処方した<処方1>。
・患者から、眼科でワーファリンとサンコバ点眼液<シアノコバラミン>が処方されていると告げられたが、エビスタとワーファリンに特に問題となる相互作用はないと考えられたので、患者には「併用しても大丈夫」と説明した(ただし、エビスタ錠の医薬品添付文書の併用注意の項に「ワルファリンを含むクマリン系抗凝血薬と併用する場合、プロトロンビン時間の減少が報告されていることから、エビスタによる治療の開始あるいは終了の際、プロトロンビン時間を注意深くモニターする必要がある」と記載されているが、本事例でエビスタ錠投与前に血液凝固能検査は行わなかった)。
・かかりつけ薬局から連絡があり、「患者は網膜静脈血栓症で眼科にかかっており、エビスタは網膜静脈血栓症患者に禁忌ですが、処方は変更されますか」と疑義照会された。

<どのような状態になりましたか>

・エビスタ錠の処方を中止した。

<なぜ起こったのでしょうか?>

・エビスタに静脈血栓塞栓症の疾患禁忌があることを失念していたため、患者から眼科でワーファリンが処方されていると聞いたにもかかわらず、患者が何の治療目的でワーファリンを処方されているのかを考えられず、詳細なインタビューができなかった。

<二度と起こさないためには今後どうしますか?>

・エビスタは網膜静脈血栓症などの静脈血栓塞栓症のある患者、またはその既往歴のある患者に禁忌であることを理解する(副作用として静脈血栓塞栓症〔深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症を含む〕が報告されており、このような患者に投与するとこれらの症状が増悪することがあるため)。
・薬剤の相互作用だけではなく、疾患への影響もチェックする。特に、禁忌や慎重投与は必ず確認をする。
・エビスタはワルファリンを含むクマリン系抗凝血薬とは併用注意であり、併用する場合は、エビスタによる治療の開始あるいは終了の際、血液凝固能検査を行う必要があることに注意する(併用により、プロトロンビン時間の減少が報告されているため)。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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