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内規の「一包化に赤線」で患者が誤服用

2011/12/13

<処方せんの具体的内容は>

80歳代の女性
<処方1>病院
アリセプトD錠5mg
1錠
1日1回 朝食後
28日分
*その他処方薬4剤の記載省略

<何が起こりましたか?>

・処方1のように多剤服用中だった患者の服薬コンプライアンスを良好と判断していたが、実際はほとんど服用できていなかった。残薬を回収し、自宅残薬のアリセプトD錠<ドネペジル塩酸塩>を一包化調剤するよう薬局に指示したが、患者は同じ赤ラインが引かれた分包紙で分包されているランドセン錠<クロナゼパム>を服用していた。

<どのような過程で起こりましたか?>

・当該患者は、まだら認知症(知能を構成する精神機能の一部だけが障害され、人格水準は比較的維持されている認知症。記憶障害が著しいわりに、人柄や日常的判断力、理解力などは比較的保たれているなど、知能の侵され方にむらが見られる)であった。
・<処方1>を長い間処方していた。
・これまで患者は服薬コンプライアンス良好と判断していたが、病院の看護師から服薬ノンコンプライアンスの可能性があることを指摘された。そこで看護師に、(1)当該患者が服薬ノンコンプライアンスの可能性がある(2)自宅残薬について調査してほしい―の2点を薬局に連絡するよう指示した。
・後日、薬局から連絡があり、患者は服薬ノンコンプライアンスであり、下記に示すような持参薬(患者が持参)を回収したと連絡があった。
<回収残薬>
・当該薬局調剤分
アリセプトD錠5mg
63錠
マイスタン錠10mg
14錠
セロクラール錠10mg
50錠
ランドセン錠0.5mg 0.5錠/包
42包
 
 
・他薬局調剤分
レンドルミンD錠0.25㎎
10錠
カルスロット錠10
23錠
ディオバン錠40mg
11錠
・回収残薬を確認し、薬剤師と協議した結果、「アリセプトD錠5mgを1回1錠朝食後服用」のみ継続することにした。一剤ではあるが投薬カレンダー(1カ月分のポケットがある)へセットするため、一包化調剤を指示した。
・約2週間後、薬局から連絡があり、来局予定日になっても患者が来局しないため患者宅へ赴いたところ、本来3カ月前に中止されているはずの「ランドセン錠0.5mg 0.5錠」が投薬カレンダーのポケットにセットされていたとのことだった(患者本人がセット)。
・「ランドセン錠0.5mg 0.5錠」は以前処方していたが、半年ほど前に中止しており、自宅残薬を持参してもらう時、完全に回収されず残っていたことになる。
・「アリセプトD錠5mg 朝食後」と「ランドセン錠0.5mg 0.5錠」の分包紙に同じ赤いラインがひいてあったため、患者は、「ランドセン錠0.5mg 0.5錠」を「アリセプトD錠5mg 朝食後」と思い込んで誤服用していることが判明した(図1)。(薬局では、通常一包化調剤においては、内規で「朝:赤、昼:黄色、夕:青、寝る前:緑」のラインを引くこと、ランドセンの予製 *1)は赤ラインを引くことが決まっていた。また、ランドセンは予製だったため、患者名が記載されていなかった)
*1)予製:調剤業務の効率化や患者の待ち時間短縮などを目的に、一定の処方内容で繰り返し処方されることが多い薬剤や、製剤の均一化に時間がかかる薬剤などを、あらかじめ調製しておくこと。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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