<処方 1> 当院内科
200X 年 5 月 入院前の処方
ダントリウムカプセル 25 mg | 3 Cp | 1 日 3 回 | 毎食後 | 30 日分 |
オパルモン錠 5μg | 6 錠 | 1 日 3 回 | 毎食後 | 30 日分 |
モービック錠 10 mg | 1 錠 | 1 日 1 回 | 朝食後 | 30 日分 |
以上、一包化 | ||||
<処方 2> 当院内科
200X 年 7 月 退院後の処方
ダントリウムカプセル 25 mg | 3 Cp | 1 日 3 回 | 毎食後 | 30 日分 |
オパプロスモン錠 5μg | 6 錠 | 1 日 3 回 | 毎食後 | 30 日分 |
モービック錠 10 mg | 1 錠 | 1 日 1 回 | 朝食後 | 30 日分 |
以上、一包化 | ||||
- 当該患者は、入院前にオパルモン錠<リマプロストアルファデクス>を含む<処方 1> を処方していたが、一旦入院となり、退院後は、オパプロスモン錠<同>を含む<処方 2>を処方した。
- 処方箋を応需した薬局より、オパルモン錠は一包化できるが、オパプロスモン錠は一包化できないと、疑義照会を受けた。
- 当該患者には、入院前より <処方 1> を投与していた。
- 患者が入院したため、入院中に、<処方 1>の中のオパルモン錠<リマプロストアルファデクス>(小野薬品工業)を、院内採用品であった後発品のオパプロスモン<同>(後発品)に変更した。
- 退院後も、オパプロスモンのまま処方した(<処方 2>)。
- 処方箋を応需した薬局より、オパルモンは一包化できるが、オパプロスモンは一包化できないと、疑義照会を受けた。
- 薬局より、
1) オパルモンは一包化できるが、オパプロスモンは含量低下を生じるため一包化できないこと。
2) 患者に、オパプロスモンを一包化すると含量低下を生じるため一包化できないことを説明し、オパプロスモン(アルミ包装に入った PTP シート)にするか、または患者負担額が増加するが先発品のオパルモンに戻して一包化するかを相談したところ、オパルモンでの一包化を希望していること。
から、処方変更をお願いできないかとの疑義照会を受けた。
- そこで、<処方 2>のオパプロスモンをオパルモンに変更した。
- オパルモンをオパプロスモンに変更することで、一包化時の安定性が大きく変わることは認識していなかった。
- 「後発品は、同等性については確保されているとされるが、さまざまな条件下での製剤の安定性などについてまで、同等性が保証されているものではない」、ということを再度認識する。
- オパルモンおよびプロレナール(これもリマプロストアルファデクスである、大日本住友製薬)は吸湿性があり、以前は一包化できなかったが、平成 18 年 6 月に添加物が変更されてからは旧製剤に比べ安定性が向上し、一包化もできるようになった。
- しかし、現在のオパルモンの医療用医薬品添付文書の取扱い上の注意欄には「本剤は吸湿性を有するので,内袋開封後は PTP 包装のまま保存し,服用時に PTP から取り出すこと。(本剤は乾燥剤を入れたアルミ箔の内袋及び防湿性の PTP を使用することにより品質保持をはかっている。)」となっている。メーカーの見解によると、25 ℃、75% RH においては(開放状態)、6 週間を過ぎると含量に減弱が見られており、患者が自宅でどのような保管の仕方をしているか予測がつかないため(75% RH に近い状態で保存している可能性もある)この注意喚起は添付文書からはずしていないということである。したがって、添付文書だけからでは、先発品と後発品の安定性の違いに関する情報は得られないといえる。
- 表 1 には、リマプロストアルファデクス製剤の安定性データをまとめた。