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ヒヤリ・ハット事例<117>
三週間分のホルモン剤を一週間で服用した患者【全文掲載】

2008/07/28

1 処方の具体的内容は?
20 歳代、女性
<処方 1> 婦人科(処方オーダリング)

(1) プレマリン錠 0.625 mg
1 錠
1 日 1 回
夕食後
7 日分
(2) プレマリン錠 0.625 mg
2 錠
1 日 2 回
朝夕食後
7 日分
(1) の次服用
(3) プラノバール配合錠
1 錠
1 日 1 回
夕食後
10 日分
(2) の次服用


2 何が起こりましたか?
  • 患者にはカウフマン療法のため、処方 1 を処方した。
     
  • しかし患者は、(1)、(2)、(3) の薬剤を全て 1 日のうちに服用するのだと判断して一緒に服用していた。例えば、ある日の朝は、プレマリン錠<結合型エストロゲン>を 1 錠、その日の夕には、プレマリン錠を 2 錠、プラノバール配合錠<ノルゲストレル、エチニルエストラジオール>を 1 錠服用していた。
     
  • したがって、24 日分のうちの最初の 21 日分を、7 日で飲みきったことになる。
3 どのような過程で起こりましたか?
  • この患者は、月経異常に対していわゆる「カウフマン療法」を施行中であった。すなわち、まず合成エストロゲン製剤の投与を先行して子宮内膜を増殖させ、EP 合剤(合成エストロゲンとゲスターゲンとの合剤:プラノバール配合錠<ノルゲストレル・エチニルエストラジオール>、エデュレン<酢酸エチノジオール・エチニルエストラジオール>など)またはプロゲストーゲン剤(黄体ホルモン様作用を有する物質の総称)を投与するという療法である。
     
  • 患者は特にその他の疾患はなく、併用薬もない。
     
  • 初めて処方 1 を処方したとき (8 月) から4 ヶ月後の 12 月に、患者は再度外来受診した。
     
  • 今回も同様に処方 1 を処方した。患者には、3 種類の薬を順番に服用するように説明し、処方には各薬剤の服用順を明記した。
     
  • 薬局においても、薬剤師から服用方法の説明がなされたとのことである。患者が持参した薬袋を確認したところ、薬袋は三つ用意され、それぞれに (1)、(2)、(3) と番号が記入されていた。更に、(2) の薬袋には「(1) の次に服用」、(3) の薬袋には「(2) の次に服用」と記載されていた。
     
  • しかし患者は、薬袋の表記を一日の中での服用順だと勘違いし (1)、(2)、(3) の全てから朝夕服用分を取り出して一日のうちに服用してしまったようである。
4 どのような状態 (結果) になりましたか?
  • その後、4 ヶ月間無月経となってしまった。患者がおかしいと思い受診したために、上述の服用間違いが発覚した。
     
  • 外来の際には、服用方法についてきちんと説明したつもりであったし、薬局においても服用方法は再度説明されたはずであったが、患者には正確に伝わっていなかった。
     
  • 新たに、正しい使用法について説明した。すなわち、患者が持参した薬局の薬袋も横において、「(1) を一週間飲み、飲み終わったら次の一週間は (2) を服用し、(2) が飲み終わり次第、(3) を服用するように」と念を押して説明した。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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