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ヒヤリ・ハット事例<114>
ニトロダームTTSを1日2回貼付してしまった理由は?【全文掲載】

2008/06/30

1 処方の具体的内容は?
80 歳代、男性
<処方 1> 当院内科、手書き処方、1 月 21 日

ラシックス錠 20 mg 0.5 錠 1 日 1 回 朝食後 14 日分
ディオバン錠 80 mg 1 錠 1 日 1 回 朝食後 14 日分
ニトロダーム TTS 1 日 1 回 1 枚貼付 14 日分


 
2 何が起こりましたか?
  • ニトロダーム TTS を「1 日 1 回貼り替えてください」と説明したところ、ニトロダーム TTSを 1 日 2 回貼付(2 枚/1 日量)していた。
3 どのような過程で起こりましたか?
  • 1 月 21 日に、初めてニトロダーム TTS を処方した。
     
  • その際、患者に「 1 日 1 回、同じくらいの時間に貼りかえてください」と説明をした。
     
  • 患者は調剤薬局においても、同様の説明を受けたようで、後から確認したところニトロダーム TTS の薬袋と薬情には、印字で「1 日 1 回貼りかえて」と用法が記載されていた。
     
  • しかし、1 週間後の 1 月 28 日に、患者が再度訪れ、「ニトロダーム TTS がもう無くなった」と訴えた。
     
  • そこで詳しい使用状況を聞いてみると、「1 日 1 回貼りかえてと言われたし、薬袋に書いてあったから、朝・夜と 1 日 2 回とりかえていた。朝貼るのは当たり前だから、1 日 1 回貼りかえるっていうのは、朝のほかにもう 1 回貼りかえるということだろう、説明が悪い!」と怒り出した。
4 どのような状態 (結果) になりましたか?
  • 幸い、患者には有害事象は全くおきていなかった(※1)。
     
    ※1:患者は 1 日 2 枚(倍量)使用していたことになるが 2 枚を同時に貼付していたわけではなかったため、過量投与にはなっていなかったと考えられる。すなわち、ニトロダーム TTS は貼付 1 時間後から血漿中ニトログリセリン濃度が定常濃度を保ち、剥離後は速やかに体内から消失する製剤である。このため、1 枚を 24 時間貼付した場合と 12 時間貼付×2 回の場合とで両者の血漿中濃度に大きな違いは認められなかったと考えられる。
     
  • 患者へは、説明が不足していたことを謝るとともに、「1 日 1 回、朝だけ 1 枚貼ること、貼った後は翌朝まで、そのまま取りかえなくてよい」と念押しして説明して、<処方 2>の処方せんを渡した。
     
    < 処方 2 > 当院内科、手書き処方、1 月 28 日

    ニトロダーム TTS 1 日 1 回 1 枚貼付 8 日分


     

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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