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ヒヤリ・ハット事例<107>
チラーヂン末の服用を突然中止した患者。その意外な理由とは?【全文掲載】

2008/04/28

 1 処方の具体的内容は?
70 歳代、女性
<処方 1> 当科 (耳鼻咽喉科)より(処方オーダリング)

チラーヂン末 90 mg 1 日 1 回 朝食後 90日分

2 何が起こりましたか?
  • 院内処方から院外処方に切り替えたところ、患者がチラーヂン末の服用を中止してしまった。
3 どのような過程で起こりましたか?
  • 当該患者の薬剤<処方 1>は、これまで院内調剤(病院内の薬剤科で調剤)であったが、このたび、患者の都合で初めて院外処方とした。
     
  • 患者は、院外薬局で調剤された薬剤が、これまで慣れ親しんだ病院内で調剤されていたものと見た目が違っていることに気がついた。そして、1 回だけ服用したが、口当たりも異なっていたため、医師による処方ミスか薬剤師による調剤ミスではないかと疑い、その後の服薬を中止してしまった。
     
  • そして、患者から、「処方ミスをしたのではないか」と電話を受けた。
     
  • 交付した処方せんは間違っていなかったため、調剤薬局に連絡を取り、調剤ミスがなかったか調査するよう依頼した。
4 どのような状態 (結果) になりましたか?
  • 院外薬局の薬剤師から回答があり、調査の結果、賦形(散剤を服用しやすくするためにかさを増やすこと)に使用した乳糖が病院のものと違っていたことが原因と思われる、とのことであった。
     
  • 院外薬局の薬剤師が、「調剤した薬剤は、これまでの病院の薬剤と同じであり、賦形剤が違うのみである」ことをわかりやすく患者に説明したため、患者は納得したとのことである。
5 なぜ起こったのでしょうか?
  • 院外薬局の薬剤師が調べたところ、その薬局で使用している乳糖は粉末状で、「製造販売元:シオエ製薬株式会社、販売:日本新薬株式会社」であり、一方当院の薬局で使用している乳糖は「製造販売元:オリエンタル薬品工業株式会社、販売:岩城製薬株式会社」と、相違していた。その薬剤師によると、前者は、粉末状でさらっとしてざらざら感はないが、後者は、少し大きめの粒状でざらざらとする感じであった、とのことである。
     
  • 処方した自分はもちろん、薬局の薬剤師ですら、製造企業により乳糖の外観、口当たりなどが相違することがあることを全く認識していなかった。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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