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ヒヤリ・ハット事例<104>
アドナの止血作用とアスピリンの抗血小板作用は拮抗するのか?【全文掲載】

2008/03/31

1 処方の具体的内容は?
60 歳の男性
<処方 1> 当科 (循環器科)

バイアスピリン錠 (100 mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 30 日分
ワーファリン錠 (1 mg) 4 錠 1 日 1 回 朝食後 30 日分
グリコラン錠 (250 mg) 3 錠 1 日 3 回 毎食後 30 日分
アマリール錠 (1 mg) 2 錠 1 日 1 回 朝食後 30 日分
クレストール錠 (2.5 mg) 1 錠 1 日 1 回 夕食後 30 日分
アムロジン錠 (5 mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 30 日分


 
<処方 2> 他院の眼科

アドナ錠 (30 mg) 3 錠 1 日 3 回 毎食後 30 日分
ヒアレイン点眼液 (0.1%) 5 mL 3 本 1 日 3 回 両眼に点眼 30 日分


2 何が起こりましたか?
  • バイアスピリン<アスピリン>及びワーファリン<ワルファリンカリウム>などの抗凝固薬を含む<処方 1>と、アドナ<カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム>を含む<処方 2>が併用されていたことを、併用開始から 10 ヶ月たった時に知った。 
     
  • アドナと、バイアスピリンやワーファリンの作用が拮抗しないか不安になったが、これまで 10 ヶ月以上問題がなかったことから、不安を抱きつつも<処方 1>を継続した。
3 どのような過程で起こりましたか?
  • バイアスピリン<アスピリン>及びワーファリン<ワルファリンカリウム>などの抗凝固薬を含む<処方 1>と、アドナ<カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム>を含む<処方 2>が併用されていたことを、併用開始から 10 ヶ月たった時に知った。 
     
  • アドナと、バイアスピリンやワーファリンの作用が拮抗しないか不安になったが、これまで 10 ヶ月以上問題がなかったことから、不安を抱きつつも<処方 1>を継続した。
4 どのような状態 (結果) になりましたか?
  • 診察後、やはり不安になり、病院の医薬品情報室に問い合わせてこれら薬剤の薬理学的な拮抗作用が生じるか否かについて、調査してもらった。 
     
  • その結果、アスピリンとカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムの併用によって、両者の作用が互いに打ち消しあって効果が減弱される可能性は低いと考えられた(<その他特記すべきこと>参照)。 
     
  • また、ワルファリンとカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムの相互作用に関しても、両薬剤の作用は互いに拮抗するものではなく、両者の効果が減弱される可能性は低いと考えられた(<その他特記すべきこと>参照)。
5 なぜ起こったのでしょうか?
  • 10 ヶ月にわたり、患者が他院の眼科を受診していることや、そこでの処方内容を把握できていなかった。(前医は把握していたのかもしれないが、引き継ぎが不十分であった) 
     
  • アスピリンやワルファリンとカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムとの間で、薬理学的な拮抗作用が生じるか否かについて十分な知識を有していなかった。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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