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2008. 4. 7

ONTARGET試験

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脳血管

 ONTARGETプログラムは、心血管イベント発症抑制主要評価項目としたアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)についての大規模試験である。本プログラムはONTARGET(Ongoing Telmisartan Alone and in combination with Ramipril Global Endopint Trial)試験とTRANSCEND(Telmisartan Randomized Assessment Study in ACE Intolerant subjects with cardiovascular Disease)試験の2つから構成されている。

表1 ONTARGETプログラム(ONTARGET/TRANSCEND)の登録基準

 ONTARGETプログラムでは、心血管イベントのハイリスク患者を対象とし、ARBのテルミサルタンによる心血管イベントの発症抑制効果が検討された。

 対象は、冠動脈疾患末梢動脈疾患脳血管疾患、臓器障害を伴う糖尿病のいずれかを有する55歳以上の患者(表1)であり、アジア、オーストラリア、欧州、米国、中東、南アフリカなど、世界40カ国730施設から3万1546例が登録された。この登録数は、過去の類似する介入試験の中では、最も大規模なものとなっている(図1)

 ONTARGET試験とTRANSCEND試験は共通した登録基準と評価項目で実施された。対象患者は、まずアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の忍容性が評価され、忍容性がある者はONTARGET試験に、ない者はTRANSCEND試験に組み入れられた(図2)

図1 循環器関連の主な大規模臨床試験の登録例数

 ONTARGET試験では、対象者をARBのテルミサルタン投与群(n=約7800)、ACE阻害薬ラミプリル投与群(n=約7800)と、テルミサルタン+ラミプリル併用群(n=約7800)の3群に割り付け、ACE阻害薬の単独投与に対するARB単独投与の非劣性、ACE阻害薬の単独投与に対する併用投与の優越性などが検討された。

図2 ONTARGETプログラム(ONTARGET/TRANSCEND)の試験デザイン

表2 ONTARGETプログラム(ONTARGET/TRANSCEND)の評価項目

 一方、TRANSCEND試験では、テルミサルタン群(n=約3000)とプラセボ群(n=約3000)の2群が設けられ、プラセボ投与に対するテルミサルタン単独投与の優越性が検討された。両試験とも2001年11月から登録が開始され、無作為化2重盲検比較試験として3.5〜5.5年の追跡が行われた。主要評価項目と2次評価項目(エンドポイント)は、表2に示す通りである。

幅広いハイリスク者対象で多彩なサブスタディが可能に
 ONTARGET試験とTRANSCEND試験に登録された患者の年齢は、前者が平均66.4歳(男性73.3%)、後者が平均67.0歳(男性57.5%)だった。BMIはそれぞれ28.2と28.3、ウエスト/ヒップ比は両試験とも0.9、総コレステロールは189.1 mg/dLと196.9mg/dL、トリグリセリドは150.5 mg/dLと159.3mg/dLであった。

 既往としては、心筋梗塞が最多で48.7%と46.2%、次いで安定狭心症が34.8%、36.9%と多い。危険因子は高血圧が最多で68.3%と75.9%、次いで糖尿病が37.3%と35.4%だった(表3)

表3 患者背景比較

 ベースラインにおける投薬は、スタチンが60.7%と54.5%であり、これはACE阻害薬のラミプリルをプラセボと比較したHOPE試験の2倍以上に相当。ACE阻害薬は57.5%と58.1%であり、これもHOPE試験の5倍以上に相当した(表4)。心血管イベントのハイリスク患者に対する治療は、HOPE試験の実施以降、大きく前進したことが分かる。

表4 患者背景比較

 追跡期間中(平均886日)、主要エンドポイントに規定したイベント発生は、合計2882例(心血管死1067例、心筋梗塞926例、脳卒中823例、慢性心不全による入院668例)であった。また、新規の糖尿病発症は1006例(3.2%)であり、血糖値が18mg/dL増加するごとに、慢性心不全での入院リスクが1.1倍(95%信頼区間1.08〜1.12,p<0.0001)に上昇した(Circulation 2007;115:1371-5)

 以上のことから、本試験の対象者は確かにハイリスクグループであり、HOPE試験との相同性が確認された。

図3 ONTARGETプログラムで計画・実施中のサブスタディ

 これまでに実施されてきた大規模介入試験の結果から、高い心血管リスクを有する患者の治療には、スタチンやACE阻害薬の使用を推奨するというエビデンスが得られてきた。同様にONTARGETプログラムからも、ハイリスク患者の治療について重要な知見が得られると期待されている。特に、従来の介入試験が対象患者を絞り込んでいたのに対し、ONTARGETプログラムでは、HOPE試験の約3倍に相当する幅広いハイリスク患者を対象としているので、さまざまなサブスタディが可能となっている(図3)

 ONTARGET試験の結果は、2008年3月末から米国シカゴで開催される米国心臓病学会(ACC)で報告され、ACE阻害薬単独投与に対するARB単独投与の非劣性が証明された。

(日経メディカル別冊)

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