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2008. 3. 19

ストロークスケール

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脳血管

 脳卒中患者の病態を客観的に評価する目的で考案されたツールが「ストロークスケール」(脳卒中評価スケール)である。ストロークスケールには、急性期における重症度や治療効果などの判定に使われるものと、主に慢性期において、ADLやQOLなどの評価に使われるものに大別できる。

 脳卒中急性期におけるストロークスケールとして、世界的に広く使われているのが、NIH Stroke Scale(NIHSS)である。これは意識、視野、眼球運動、顔面麻痺、四肢筋力、運動失調、感覚、言語など、15種類の評価項目からなる。各評価項目のスコアを合計すると0〜42点になり、点数が高いほど重症となる。

 組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の静脈内投与の有用性を検討した米国のNINDS 試験では、アルテプラーゼ静注で1年後に良好な転帰が得られたのは、来院時のNIHSS スコア10未満で60〜70%だったのに対し、21以上では4〜16%に過ぎなかった(Stroke 1997;28:2109-2118)。また、NINDS 試験における症候性頭蓋内出血の発現頻度を調べた研究では、NIHSS スコア20以上では17%だったのに対して、10以下では3%だったとしている(NEJM 1999;340:1781-1787)。

 このようにNIHSS は、予後の予測や頭蓋内出血の回避にも活用できる。J-ACT(Japan Alteplase Clinical Trial) のデータに基づいて、わが国で開始されたt-PA静注療法においても、NIHSS スコアの使用が推奨されている(Stroke 2006;37:1810-1815)。

 しかし、NIHSS も含めて、数ある急性期ストロークスケールの問題点として挙げられているのが、定量性の欠如である。ストロークスケールでスコア20と出ても、それは重症度としてスコア10の2倍とは言えない。

 こうした不都合を解決するべく作られたのがわが国の脳卒中重症度スケール(急性期Japan Stroke Scale:急性期JSS)である。急性期JSS では、conjoint分析という統計理論を使って、評価項目に科学的根拠のある重み付けが行われた。得られたスコアが比例尺度となっているのが急性期JSS の大きな特徴で、現時点では世界で唯一の定量的ストロークスケールである。

 評価項目は、意識、言語、無視、視野欠損または半盲、眼球運動障害、瞳孔異常、顔面麻痺、足底反射、感覚系、運動系(手、腕、下肢)の12項目。各評価項目のカテゴリー数は2または3となっている。

 調査者は、専用の調査票に該当カテゴリーをチェックし、チェックの入った枠の右側に示されている数字を合計すればよい。得られた数値が「重症度スコア」で、およそ-0.38と26.95の間の値を取る。急性期JSSは、評価者間のバラツキが少ないことが報告されている(Stroke 2001;32:1800-1807)。

 一方、慢性期において脳卒中による障害度を評価するストロークスケールとして広く使われているのが、「modified Rankin Scale」(mRS)である。mRS により、自立できるかどうかの視点から障害を包括的に評価できる。自立度を評価するために、「Barthel Index」もリハビリテーションの場で広く活用されている。

 日本脳卒中学会はこのほか、JSS-M(脳卒中運動機能障害重症度スケール)、JSS-H(脳卒中高次脳機能スケール)、JSS-D(脳卒中うつスケール)、JSS-E(脳卒中情動障害スケール)、JSS-DE(脳卒中うつ・情動障害同時評価表)などのストロークスケールも作成している。

(日経メディカル別冊)

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