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2008. 3. 19

MELT

関連ジャンル:

脳血管

 MELT(Middle Cerebral Artery Embolism Local Fibrinolytic Intervention Trial)は、中大脳動脈閉塞−脳塞栓症の急性期に対する局所線溶療法の有用性を検討した、わが国の無作為化試験。局所線溶療法は従来療法に比べ、脳機能障害の軽減作用に優ることが示唆された。登録患者の85%は脳塞栓症だったが、塞栓症は他の型の脳卒中に比べて重篤で、しばしば致死的、あるいは重篤な神経学的後遺症をもたらすことが知られている。

 対象は、発症後6時間以内の中大脳動脈(M1、M2)閉塞−脳塞栓症114例(平均年齢67歳)。参加57施設で登録され、全例、明らかな局所性神経脱落症候を認めた。昏睡、NIH脳卒中スコア(NIHSS)>22、発症前から修正Rankinスコア≧3などの重篤な脳機能障害例は除外した。対象者は、局所線溶療法(ウロキナーゼ)群(57例)と、局所線溶療法以外の治療を施す対照群(57例)に無作為割り付けし、90日間追跡した。

 局所線溶療法は、ヘパリン5000 IUを静注後、マイクロカテーテルが塞栓を貫通したところでウロキナーゼを投与した*1。ウロキナーゼは12万 IUを5分間かけて投与し、再疎通が得られるまで2時間以内であれば最高5回まで投与してよいものとした。対照群に指示された治療は特になかったが、両群とも線溶薬の静注は禁止とした。

 本試験の実施中、脳梗塞に対するt-PA静注を用いた血栓溶解療法が認可されたため、発症後3時間以内の患者はt-PAの適応となり、本試験への参加が不可能となった。そのため、t-PA認可時点で本試験の登録も終了した。その結果、本試験は検出力不足となった。

 1次評価項目である発症90日後のmodified Rankin Scale(mRS)=0〜2は、局所線溶療法群で増加傾向を示した(49.1% vs 38.6%、p=0.345)。さらにmRS=0または1という極めて予後の良い患者の割合(2次評価項目の1つ)は、局所線溶療法群で有意に多かった(42.1% vs 22.8%、p=0.045)。同じく2次評価項目の1つである「NIH脳卒中スコア≦1」となった患者(神経障害軽度)の割合も局所線溶療法群で有意に多かった(20例 vs 8例、p=0.01)。

 有害事象の発現は、頭蓋内出血が局所線溶療法群で9%と、対照群の2%に比べ高い傾向があったが有意差は認められなかった(p=0.206)。生存率にも有意差を認めなかった(局所線溶療法群:5.3% vs 対照群:3.5%、p=1.000)。

 本試験のみでは予後への影響は断言できないが、MELTの成績を加えて行われたメタ解析では、脳梗塞に対する局所線溶療法は「死亡・障害」を有意に減少させていた。

■関連情報
*1 欧米で報告されている臨床試験PROACT(Stroke.1998;29:4-11)と、PROACT II(JAMA.1999;282:2003-2011)では塞栓内にカテーテルを留置していた。
*2 MELTのホームページ
*3 脳梗塞の血管内治療に関する日本発RCT

(日経メディカル別冊)

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