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2008. 7. 13

ONTARGET試験

ARBがACE阻害薬と同等の心血管系イベント抑制効果

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脳血管 | 高血圧

 レニン・アンジオテンシン系(RAS)抑制薬であるアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)については、脳、心、腎などの心血管系臓器に対し保護作用を示すことが、これまでの臨床試験成績から明らかになっている。しかし、ACE阻害薬とARBの心血管イベント抑制効果に違いがあるか否かは不明であり、また、ACE阻害薬とARBを併用した際に、単剤投与を上回る保護効果が得られるか否かも明らかでなかった。このため、両薬をhead-to-headで比較する臨床試験の結果が待たれていた。ONTARGET(2008年)はそうした期待に応えるべく計画された初めての大規模臨床試験であり、2008年3月に結果が公表された。

ONTARGET
ONgoing Telmisartan Alone and in combination with Ramipril Global Endpoint Trial

 ONTARGET試験は、40カ国・730施設おいて患者3万1546例を対象に、ARBの心血管イベント抑制効果を検討した国際的大規模臨床試験プログラムである。

 同プログラムは、ONTARGETとTRANSCENDの2つの試験から成り立っている。いずれも登録基準は55歳以上で、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患、臓器障害を伴う糖尿病のいずれかを有するいわゆるハイリスク患者。全3万1546例のうち、ACE阻害薬への忍容性が認められた2万5620例がONTARGET試験、不忍容を呈した5926例がTRANSCEND試験の対象とされた。

 ONTARGET試験では、テルミサルタンとACE阻害薬ramipril(ラミプリル)の併用がramipril単剤投与よりも有効であるか、およびテルミサルタン単剤投与がramipril単剤投与と少なくとも同程度に有効であるかを検討。一方、TRANSCEND試験では、ACE阻害薬に忍容性のない患者において、テルミサルタンがプラセボよりも優れているかを検討した。

 1次エンドポイント(評価項目)は、複合心血管イベント(心血管死、非致死的な心筋梗塞(MI)、非致死的脳卒中、うっ血性心不全による入院)の発症。2次エンドポイントは、新規うっ血性心不全、血行再建術の施行、新規糖尿病、認知症/認知障害の進展、腎症、新規心房細動。

 登録基準は55歳以上で、次のいずれかを有するものとされた。
ヾ動脈疾患:MI既往(合併症のないMI後から>2日)、多枝疾患の証拠がある>30日前の安定/不安定狭心症、>30日前の多枝疾患PTCA、>4年前のCABGあるいは施術後の狭心症再発
∨梢血管疾患:下肢バイパス術あるいは血管形成術の既往、四肢あるいは脚部切断、足関節vs.上腕血圧比≦0.80の間欠性跛行、血管造影あるいは非侵襲的検査により立証された著明な(>50%)末梢血管狭窄。
G招豐票栖気箸靴董脳卒中既往、7日〜1年未満の一過性脳虚血発作(TIA)。
づ尿病:終末器官障害を伴うハイリスクの糖尿病。

 単盲検による3週間のランイン期間後、ONTARGET試験では、テルミサルタン 80mg/日群、ramipril 10mg群、テルミサルタン 80mg/日+ramipril 10mg/日併用群の3群に無作為化。TRANSCEND試験では、テルミサルタン80mg/日群、プラセボ群に無作為化した。

 その結果、治療前の3群の血圧は約142/82mmHgとほぼ同等だったが、治療に伴う降圧度はramipril群-6.0/-4.6mmHg、テルミサルタン群-6.9/-5.2mmHg、併用群-8.4/-6.0mmHgであり、テルミサルタン単独群と2剤併用群の降圧度がramipril単独群に比べ若干低かった。

 1次エンドポイントについては、ramiprilとテルミサルタンの間で非劣性検定が行われた。イベント発生率はramipril群16.46%、テルミサルタン群16.66%で差はみられず、テルミサルタンのramiprilに対する非劣性が証明された。また、テルミサルタンのイベント抑制効果はramiprilと同等だった。

 ramipril+テルミサルタン併用の効果をramipril単独と比較した結果、イベントの発生率に差はみられなかった。1次エンドポイントの分析結果は、収縮期血圧について補正後もすべて同じであった。

 これらのことから、心血管疾患リスクの高い患者の治療においてテルミサルタンは、心血管イベント抑制効果はramiprilと同等で、忍容性、安全性からみて信頼性の高い薬剤であることが示唆された。(N Engl J Med. 2008 Apr 10; 358(15): 1547-59)

(頓宮 潤=メディカルライター)

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