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プライマリケア再入門 ハイパー家庭医への羅針盤 トップ

これから必要とされる家庭医は、最先端の画像診断機器、検査機器を診療所や患者宅で使いこなす“ハイパー家庭医”だ。8人の医師から、診断機器使いこなしのテクニックを学ぶ。

Vol.7 福田心臓血管外科消化器科内科(高知市)
外来で迅速な診断に役立つVscan

2013/04/01

 こうした善晴氏の考え方、診療スタイルなどに、息子の福田大和氏も大きな影響を受けてきた。2002年に獨協医科大学を卒業後、循環器内科医として、徳島大学病院や国立病院機構善通寺病院で“修業”を重ねてきた。そして、2011年4月に福田心臓血管外科消化器科内科の勤務医となった。

福田 大和(ふくだ・やまと)氏
1978年生まれ。2002年獨協医科大学医学部を卒業。05年より徳島大学病院、06年より国立病院機構善通寺病院に勤務。11年4月より、福田心臓血管外科消化器科内科に勤務。13年徳島大学医学部大学院修了(医学博士)。13年4月より米国ペンシルベニア州の心臓血管研究センターに留学。超音波専門医、循環器専門医、心臓リハビリテーション指導士、内科認定医。

 日常診療で超音波診断装置を使ってきた大和氏が、Vscanと出合ったのは、善通寺病院勤務時代。従来のポータブルエコーと比べ、小さくて軽く、起動が速い点に注目し、「救急診療や往診だけでなく、一般の有床診療所でも有用なはず」と考え、すぐに福田心臓血管外科消化器科内科での導入を勧めたという。

 その後、実際に福田心臓血管外科消化器科内科で診療を始め、Vscanを使用する場面を経験。特に外来での有用性が高いという。「車椅子で来院された人でも検査室まで行かず、その場でエコー検査が可能です。聴診などで心臓の不具合を疑ったときは、すぐにVscanで検査し、重大疾患の除外ができるので非常に有用です。医師にも患者さんにも負担が少ないのもメリットですね」。

 最近も、脈が速くなり、息苦しさを訴える50歳代の男性が受診したケースがあった。聴診で肺高血圧症を示唆するII音肺動脈成分の亢進を認めたため、大和氏は肺塞栓を疑った。そこで、Vscanで検査したところ、「右室拡大を認め、右室自由壁の動きも悪かったことから、肺塞栓が強く疑われました」(大和氏)。高次の専門病院に紹介することができ、適切な治療も受けられたため、この患者は大事に至らずに済んだ。

聴診などで心臓の不具合を疑ったとき、福田大和氏はすぐにVscanで検査して診断している。

Vscanによる左室拡張能の評価を実施
 パルスドプラモードを搭載していないVscanでは、左室流入血流速度を計測できないため、左室拡張能の評価が難しいが、大和氏はVscanのカラードプラモードで代用する試みも行っている。

 大和氏は、Vscanと通常の心エコー検査機による心エコー検査を同時に施行し、Vscanのカラードプラ法による折り返し現象(aliasing)に注目。これを利用して、拡張早期にのみaliasingが見られる例、拡張末期にのみaliasingが見られる例に分け、パルスドプラ法による観察結果と比較した。

Vscanを使用して診療に当たっている、理事長の福田善晴氏(左)と大和氏(右)の2人。

 その結果、拡張末期にのみaliasingが見られる例では、ほぼ全て左室弛緩障害を呈していた。大和氏は「Vscanのカラードプラ法により、左室拡張能の評価に、ある程度の有用性が認められました。外来では、足のむくみや息切れを訴える高齢の患者さんも多く、この手法を使用すれば、Vscanで早期のうっ血性心不全の診断ができる可能性もあるため、今後は、左室収縮機能低下例、心不全例などにも応用可能かどうか検討したいです」と話す。なお、この研究結果は、『高知市医師会医学雑誌第17巻第1号』に掲載された。

福田大和氏の著作が5月末にも発行される予定です。
書籍名:『恋する心エコー ―心機能は4つの線で理解できる―《メルクマール編》』 発行:SCICUS
著者:福田 大和、共著:足立 太一
内容:心機能の考え方とコツをストーリー仕立てでわかりやすく解説する、これまでにない医学参考書。

 日々の診療の充実を常に心がけており、「診療には、理論や経験に加え、エビデンスやガイドラインが重要と考えています。最新の情報を、論文や書籍、学会などへの参加に加え、周囲の先生方との交流から吸収していきたいと思います」と語る大和氏。その一方、「一町医者となった今、道徳心や相手の立場に立つことなど、理屈ではない部分が医療においては非常に重要だと、より強く感じる毎日を送っています。今後も、技術の向上や知識の習得を図るだけでなく、自分自身を常に見つめ直していきたいと思います」(大和氏)。

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