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ユビキタス実現を目指しクラウドによるインフラの最適化を模索
福井大学医学部附属病院(福井県永平寺町):クラウド環境で病院情報システム構築

2011/08/02
増田克善

 データのバックアップに関しても、従来は基本的に電子カルテ、部門システムそれぞれでバックアップをする体制だった。システムごとに異なるベンダーがバックアップシステムを導入するため、方式が異なったりメディアがばらばらだったりする。仮想化を利用してブレードシステムにHIS系を統合したことにより、方式やスケジュールなど一元的なデータバックアップ環境が構築できた。

●端末デバイスを選ばないユーザーのアプリケーション利用環境

クライアントの仮想化により、シンクライアント端末以外にも、iPadやiPhone、各種Android端末など、現場のニーズや個人的な嗜好で使い分けることができる

 仮想化環境の最大のメリットとして山下氏は、クライアントの仮想化によってシンクライアントに移行できたこと、現場のニーズや個人的な嗜好も含めて自由にアクセスデバイスを選べる環境になったこと、この2点を強調している。従来のPC端末では1台十数万円の導入コストになるのに対し、シンクライアント端末は2万円程度。PCを1000台規模で利用している同病院にとって、コスト削減幅は非常に大きい。

 「シンクライアント端末はディスク装置など機械部分がないため故障率が低く、省エネ効果も大きい。データが端末に残らないため、セキュリティ上も情報漏えいリスクなどが低くなります」

端末のコスト削減が図られるうえ、ユーザー満足度も向上するという

 「iPadやAndroid端末など、ユーザーが使いたい端末を自由に使うことができるメリットは大きいのです。近い将来、われわれはアプリケーションを提供するのみで、院外に持ち出さないなどの条件を課したうえで、端末は個人で使いたいものを自由に購入できるような体制にしたいと考えています」(山下氏)と大胆な考えも披露する。

 現在、「病棟は各種端末のショールーム状態」(山下氏)というほど、さまざまな端末が実験的に使用されている。iPadをはじめ、iPhone、NECのLife TouchのようなAndroid版のスレート端末やスマートフォンなどが病院情報システム端末として利用され、オーダーやカルテ閲覧・記載も可能である。

 「どの業務にどのような形態のアクセスデバイスが有用か試してみて、使いたいデバイスを自由に選択していけばいいと考えています。どれも従来のPCよりはるかに安く、コスト削減が可能なうえに、ユーザーの満足度もあがるでしょう」(山下氏)と、端末のタイプを選ばない仮想デスクトップインフラのメリットを強調する。

●HISと部門システムのクラウド化で削減したコストをネットワーク投資に

 サーバーの仮想化、仮想デスクトップインフラの構築により、システム導入コスト・運用コストの削減を実現。それで生じた資金をネットワークインフラに投資することで、クラウド環境や院内のユビキタス環境を整備することができるようになった。

 その背景を山下氏は、「過去の病院情報ネットワークは、HIS系、画像系、生体情報モニターなどの医療機器系、さらにインターネット系と複数の幹線が存在し、管理もバラバラの状態。どれも止まってはいけないネットワークであるにもかかわらず、システムや機器の"おまけ"的な扱いで、ネットワークインフラの重要性への認識が低いという実態がありました」

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