地域連携活用した糖尿病克服プロジェクト実証実験――第4回ヘルスケア・イノベーション・フォーラム事例部会

 5月28日(金)29日(土)の両日、「第14回日本医療情報学会春季学術大会(シンポジウム2010in高松)」が、香川県高松市のサンポートホール高松で開催された。その“前夜祭”として、27日に「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム第4回事例部会」が、一般市民にも公開される形で開催された。

 事例研究として、「社会保障カード実証事業」「周産期ネットワーク事業」「クリティカルパス実証事業」「日本版HER研究班の概要」の4つのテーマで発表が行われた。その中の「クリティカルパス実証事業」では、かがわ遠隔医療ネットワーク(K-MIX)を利用した糖尿病地域連携クリティカルパス実証実験について、主体となったチーム香川の清元秀泰氏(香川大学医学部准教授:循環器・腎臓・脳卒中内科学)が発表した。

●地域医療ネットワークを活用し糖尿病患者を地域で管理する試み

タレントのKONISHIKIを呼んでトークショーを開催するなど、糖尿病克服イベントの浸透を狙って様々な工夫を凝らした

 チーム香川では、プロジェクトの1つとして「糖尿病地域連携クリティカルパス運営プロジェクト」を進めている。これは、地域医療ネットワークをベースにクリティカルパスを積極的に利用して、大規模病院と一般の医院やクリニックが連携して、地域全体で糖尿病患者の管理を行うことが目的。今回も、モニターのデータのやり取りをはじめ、トレーナーが運動メニューを決める際に医師の診察データを利用する、スポーツクラブでの運動履歴を見て医師が診察する、といった形でK-MIXを活用した。
 
 この実証実験は、昨年12月5日から今年1月25日まで約6週間にわたって行われた。モニター59人を、運動療法のみ、食事療法のみ、運動と食事療法の組み合わせ、自己流(セルフ)の4つのグループで、6週間でそれぞれどのような効果が出てくるかを見た。4グループ共に、人数15人前後、平均年齢40〜43歳、男性比率7割弱、平均BMI28前後になるように、グループ分けをした。

 ちなみに、運動療法は、週2回スポーツクラブでトレーナーの指導の下に運動療法を実施する。食事療法は、管理栄養士の指導の下で糖尿病用レトルト・ダイエット食を朝夕食べ、食事日記を記帳する。運動と食事療法の組み合わせは、この両方を行う。自己流(セルフ)は、食事日記と万歩計の装着のみとなっている。

●医療資源活用にはさらなるネットワーク環境の整備が重要

 その結果、試験前後6週間での体重減少率は、運動+食事の組み合わせが−4%を超え、最も効果があることが分かった。次いで、食事療法、運動療法の順で、セルフ組にはほとんど体重減少が見られなかった。運動療法が思ったより効果がなかった点については、「インシュリンの効きが良くなる、脂質代謝の異常が改善されるなど慢性効果を確認するには、6週間では短すぎたのではないか」(清元氏)としている。

 清元氏はITの活用についても触れ、「ITを利用したデータ管理は、トレーナーや栄養管理士、医師からのフィードバックと、それぞれが情報を互いに活用する際に有効。医療資源を活用するためには、さらなるネットワーク環境の整備が重要である」と結んだ。

 ヘルスケア・イノベーション・フォーラムの第5回事例部会は、国際モダンホスピタルショウの開催期間中である7月15日(木)に、東京で開催される。

(本間康裕=医療とIT 企画編集)

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