日経メディカルのロゴ画像

『医療とIT』は2012年4月1日より『デジタルヘルスOnline』に全面移行しました

インタビュー/エリック・ウアネス氏(国境なき日本 事務局長)
「緊急支援とITは切り離せない、無線からネットまで自在に使う」

2009/09/01
ITPro

●グローバル調達にはリスクもある


――IT機器は基本的に各国で調達する方針なのか。


 基本的にはそうです。日本支部のオフィスで使うパソコンやサーバーなどは日本ヒューレット・パッカード(HP)が無償で提供してくれています。頻繁に実施する電話会議やビデオ会議に必要なシステムは、ポリコムから無償で提供してもらっています。


(写真・柳生 貴也)

(写真・柳生 貴也)

 国境なき医師団が実施しているのは、緊急支援だけではありません。医療サービスが行き届いていない開発途上国でクリニックを開設し、住人に対する無償サービスを提供しています。対象としている国は約60もあります。そういった国に設けた診療所やオフィスでもIT機器は必要です。各国で調達しやすい機器を選択しているのが実情です。


 グローバルで一括調達すれば安くなるのは間違いない。一部の調達物資は実際にそうしています。例えば活動地域で使う自動車は、トヨタのランドクルーザーです。もっとも、最新型ではなく古い車種ですが。また医療関連の物資も一括で調達しています。


 ただしグローバルで調達先を固定してしまうと、その企業が何らかの事情で製品を供給できなくなった場合に、支援活動に影響が出る恐れがあります。それだけは避けなければならない。こういったリスクも踏まえて慎重に調達先を決めています。


●HIV感染者の情報をデータベース化


――診療所などでの治療行為でもパソコンが役立っているのか。


 もちろんです。ケニアでのケースですが、国境なき医師団が診療所で診察した情報をパソコンに蓄積し、それを収集して、約1万5000人のHIV感染者の情報をデータベース化しました。その際に開発したデータベース・ソフトウエアを政府の保健省に提供しました。罹患率などの情報をより分析しやすくなると考えたのです。


(写真・柳生 貴也)

(写真・柳生 貴也)

 ケニア政府が運営する病院はそういったデータベースを持っていませんでした。紙のカルテもフォーマットがばらばら。そこで我々が提供したデータベースを有効に使ってもらうために、カルテの入力項目をデータベースに合わせて変更しました。こういった、我々からすれば当然実施すべき情報収集や分析も、開発途上国では実行されていないのです。医療を高度化するには整った情報システムが必須です。



■>>足で稼いだデータがものをいう



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ