●紙の利便性をデジタルでも
受診頻度を可視化する「ヒストリカルビュー」機能も追加する(図2)。これは電子カルテに記録された診療データを定量化し、過去10年分の診察状況を棒グラフで一覧表示するもの。「2年くらい前に手術した」「数年前に入院した」といった患者のあいまいな記憶からでも、過去のカルテをクリック操作で簡単に呼び出せる。

図2●新たに追加した「ヒストリカルビュー」機能の概要
この機能を追加したのは、紙の使い勝手の良さを取り入れようと考えたからだ。紙のカルテは枚数が増えると、特定の受診日のカルテや検査結果を探し出す手間がかかる。その反面、「よく参照するカルテは汚れるので見つけやすく、紙に付せんを張ることができるといったメリットがある」(佐藤営業統括部長)。この長所をデジタル化したわけだ。
使い勝手を向上させるために、ユーザーインターフェースも刷新した(図3)。例えば、患者の写真や名前などの基本情報を常に画面上に表示したほか、文書をHTML形式にして文字の大きさや色を変更できるようにした。

図3●「HOPE/EGMAIN-GX」の画面例 HTML形式の表示に対応して表現力を向上させたほか操作性を改善
主要な病歴や診療履歴を目次で示したり、電子カルテに付せんをつけたりもできる。「医療サービスの質を保ったまま効率を上げるには、視認性を高めることが重要。患者の取り違えも防げる」(佐藤営業統括部長)。
大規模から中規模まで幅広い医療機関に対応するために、カスタマイズが少なくて済むような工夫も施した。過去に複数の医療機関がカスタマイズして追加した機能については、標準機能として盛り込んでいる。
これにより、従来10カ月程度かかった導入期間を、5カ月程度に半減できるという。富士通は医療機関に対して、カスタマイズにかかる費用を抑制できる点や、短期導入できることなどを、訴求していく考えだ。(瀧本 大輔=日経ソリューションビジネス)
■「医療とIT」の関連記事
・富士通が大・中規模病院向け電子カルテシステム新版を発表