富士通が5年ぶりに電子カルテソフトの新版を投入した。既存ユーザーの要望を今まで以上に取り入れたほか、更新需要を意識し、医療の質を向上させる新機能を盛り込んだのが特徴という。
「電子カルテを導入していない中小規模の医療機関だけでなく、既に電子カルテシステムを導入している大規模な医療機関のニーズにも応える製品に仕上げた」。
富士通の佐藤秀暢 医療ソリューション事業部営業統括部長は、7月に出荷した電子カルテソフトの新版「HOPE/EGMAIN-GX」について、自信を見せる。
●既存ユーザーの要望を取り込む
富士通が電子カルテソフトの新版を投入するのは、実に5年ぶりのことだ。これまで富士通は電子カルテソフトとして、1999年に「EGMAIN-EX」を、2003年に「EGMAIN-FX」を出荷済みである。EXは主に大規模な医療機関向けのソフトで、FXは中規模な医療機関向けにEXの基本機能をパッケージ化したものである。
新製品の「GX」は、EXとFXを統合したもの。単に旧製品の機能を統合しただけではなく、「医療機関の要望を取り入れて機能を高めた」(佐藤営業統括部長)という。
富士通は電子カルテシステムの最大手で、ユーザー数は293医療機関に及ぶ。これまでもユーザーから寄せられた要望を、新機能として盛り込んできた。GXは、その集大成ともいえる製品だ。
大規模な医療機関では、既に電子カルテを導入していることも少なくない。そこで富士通は、電子カルテを導入した医療機関が、新版にリプレースしたいと感じるような機能を順次追加する。佐藤営業統括部長は「診療を手助けして医療の質を高めることを意識した」と言う。
例えば、医薬品を処方した履歴をデータベース化し、患者の病状に応じて最適な医薬品の組み合わせを提示する機能がそれだ(図1)。風邪の患者を診察する際には、風邪の症状に対する過去の処方履歴に基づき、最適な医薬品の組み合わせを表示する。

図1●「HOPE/EGMAIN-GX」の主な新機能
新薬や後発医薬品に関するデータを登録しておけば、ただちに反映される。特定の医師が処方した組み合わせを呼び出すことも可能で、「若手の医師が院内のベテラン医師の処方履歴を参考にできる」(佐藤営業統括部長)と言う。