米IBMはこのほど、生活を変える可能性がある5つのイノベーションを示す近未来技術予測「IBM Next 5 in 5」を発表した。同種の発表はこれで3回目。そのうち、ヘルスケア分野に関連したイノベーションが「健康を占う水晶玉」と題した技術だ。
具体的には、個人のDNAに基づいた遺伝子マップを極めて低価格で提供できるようになるというもの。生涯にわたる健康リスクとリスク低減の可能性を算出し、医師はその情報に基づいて生活習慣改善のアドバイスや治療を施す。医師から患者への基本的な情報提供料は200ドルを切るとIBMは予測する。
これは漠とした技術予測ではない。IBMは進行中の事例として、同社が参加して欧州で進められているHIV治療のテーラーメイド化プロジェクトを呈示している。
欧州では個々のHIV患者について、患者の特性、感染しているウイルスの遺伝子型と治療に対する反応を統合した大規模なデータベース構築が進められている。新たなHIV患者に対する治療方針を決定する際、人種や家族歴などと検査データを基に、このデータベースを参照し、最も適した“薬剤カクテル”を決定することで、治療成績を上げ、治療コストを大幅に削減できる。こうした治療最適化技術を様々な医療や健康増進に拡張したものが、冒頭の「水晶玉」である。
ほかの4つの近未来技術としては次のようなものが挙げられている。
・道路、衣類、車など様々な場所を低価格で発電体にできる薄膜太陽電池技術。
・話しかけると返事をするホームページ。
・デジタル・ショッピング・アシスタント。似合っているかどうかの確認、割引き、電子メールなどによる友人や家族の意見の集約などを行う。
・歩いた経路、会話、アポイントメントなどを記録・保存・分析する総合的な記憶援助。日本IBMのプレスリリースはこちらで閲覧できる。
(中沢 真也=日経メディカル別冊)
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